生物学者が歳をとってわかった「人生の意味」 人間にとって「自我」こそ唯一無二のものである

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このときに法律に違反するようなマイルールではダメなのだが(ダメという意味は、倫理的や道徳的にダメということではなく、この現実世界では法律を守らないと生きづらいからという意味だ)、そうでなければどんなルールをつくろうとも、それは自由だろう。

最近の研究によると、人類の自然寿命は38歳くらいだという。チンパンジーもゴリラもネアンデルタール人もだいたいそのくらいで、生物学的には人間も同じくらいだというのだ。

それなのに人間の寿命だけが延びたのは、医療と食べ物の影響だと考えられる。

40歳以降の人生は「オマケ」のようなもの

ともかく、本来の寿命が40歳くらいまでならば、それ以降はオマケの人生のようなものである。だったら儲けものだと思って、好きなように楽しんだらいい。世間のルールにとらわれず、法に触れない範囲で自分のルールを持って生きていけばいいのだ。

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健康のためだといって無理をして食事を制限したり、禁煙や禁酒する必要もない。

それをやったからといって長生きするとは限らない。かつてフィンランド保健局が、40~45歳の働き盛りの男性1200人を対象にして「健康管理をしっかり行った群」と「なんの指導もしない群」に半々に分けて追跡調査を行った。

15年後の結果はどうなったかというと、管理された人は67人、管理されなかった人は46人亡くなったという。管理されていた人のほうがたくさん亡くなっていたのだ。

このことの意味は、管理したところで特別に健康になるわけではなく、かえって管理されることのストレスのほうが害になるということなのだろうと私は解釈している。そしてこのことは今の日本にも当てはまることだと思っている。

池田 清彦 生物学者

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いけだ きよひこ / Kiyohiko Ikeda

1947年、東京都生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒業、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、山梨大学名誉教授、早稲田大学名誉教授、TAKAO599MUSEUM名誉館長。カミキリムシの収集家としても知られる。『環境問題のウソ』(筑摩書房)、『ほんとうの環境白書』(角川学芸出版)、『本当のことを言ってはいけない』(KADOKAWA)、『自粛バカ』(宝島社)など著書多数。メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』、VoicyとYouTubeで『池田清彦の森羅万象』を好評配信中。

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