「公立中高一貫校」目指すのに欠かせない2つの条件 「3年間塾漬け」でも受からない子は受からない

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都立中高一貫校は、どちらのタイプにも当てはまりません。合格までに必要な「学習総量」は、難関高校受験や私立中学受験よりも少なくて済みます。一方で、高度な知識の運用力、思考力、記述力が試されるという点で、「早熟度」は上位私立中学受験と同等の水準が要求されます。

高倍率の都市部の公立中高一貫校を、高校受験と同じように「努力が報われる受験」のイメージで捉えていらっしゃる保護者は、このつらい事実を理解しなければなりません。高校受験のように、積み重ねた努力が点数に直接反映される試験ではないということです。

進学塾は通塾の長期化を推奨し、高額なオプション講座を提供して、たくさんの対策授業を受講することで合格の可能性が高まるように錯覚させます。しかし、公立中高一貫校の適性検査は、長期間「適性検査対策講座」を受ければ合格の可能性が高まる類いの試験ではありません。

「3年間塾漬け」でも、受からない子は受からない

残念なことですが、適性検査対策に2年も3年も費やした子が大量に不合格になります。その一方、公立中高一貫校の合格要素を満たす子は、短期間の対策で合格しています。

公立中高一貫校の対策のためだけに長期間通塾し、多額の対策費用をかけるのは得策ではありません。ところが、公立中高一貫校の登場で、以前にも増して中学受験に不向きな子が早期から対策塾に通う事例が増えているのです。

「不合格になっても、その経験は役に立つ」

この塾の言葉は本当でしょうか。

高校受験の現場には、小学校高学年の学習が適性検査対策に偏り過ぎていたせいで、基礎学力がおろそかになっていると思われる学力中堅層がいます。こういう子どもは本来、高校受験ルートに専念したほうが、基礎学力の充実に努められたはずです。

受検準備に時間をかければかけるほど、「不合格」という結果が幼い体に「努力が報われない体験」として強烈に刻み込まれ、自己肯定感が下がってしまいます。公立中高一貫校の受検が、全員にとって最良の学習ルートではないということをぜひ知っておいていただきたいと思います。

公立中高一貫校を受検するなら、

「試験対策に時間と費用をかけ過ぎないこと」

「前向きな撤退選択を常に持っておくこと」

この2つが絶対条件です。

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