「公立中高一貫校」目指すのに欠かせない2つの条件 「3年間塾漬け」でも受からない子は受からない
2016年に始まった東京大学の推薦入試では、高い学力だけでは合格に至りません。学問への熱意を示す実績が必要とされます。合格者の体験記を読むと、小学校時代の「余白の時間」を、専門性を深める学びに費やしていた人が多いのです。
"小学生の頃から鳥類の研究に打ち込んでいた""自宅でビオトープを作り研究に没頭した""素数の研究に挑戦した""Webレッスンや洋書で語学力を養った"など、公立中高一貫校は、早熟で学習意欲旺盛な子どもが、長期間受験勉強で日常生活を縛られることなく進学校に入学できる可能性があります。
私が認める公立中高一貫校の最大の利点は、この点にあります。偏差値や大学合格実績という、上辺だけの評価では見落とされがちな視点でしょう。
暗記では対応できない「適性検査」という魔物
公立中高一貫校は、入学者選抜に際して、受験競争の低年齢化を招く学力検査を課さないというルールがあります。それに代わるものとして実施されているのが「適性検査」です。
この適性検査が「魔物」なのです。適性検査では理科と算数を組み合わせたりする科目横断型の問題が出題されます。一問一答形式の知識を問うものではなく、知識の運用力、思考力、正確な読解力、表現力を評価します。暗記やパターン問題演習ではとても対処できません。
都立中高一貫校の合格に必要な要素を、簡略化した図で表してみました。各都道府県の適性検査の出題傾向や要求学力水準に違いはありますが、都市部の進学校化した公立中高一貫校は、おおむね共通しているでしょう。
※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
横軸は、合格に至るまでに必要な「学習総量」です。縦軸は、生まれ持って定められた成長曲線である「早熟度」です。自然な成長の速さを示すため、努力だけで変えられません。私立中学受験では、「学習総量」の負荷が極端に大きく、なおかつ、高い「早熟度」が求められます。
高校受験は、15歳まで待てば、晩熟タイプの子どもも成長が追いつくため、「早熟度」が受験に与える影響は小さくなります。難関高校を目指すと「学習総量」は多くなりますが、中学校の授業がベースなので、学習負担感は中学受験ほど大きくありません。小学校から学習をコツコツ積み重ねることによって、受験の負担感を減らすことが可能です。そういう意味で、高校受験は「努力の受験」です。
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