心を整えたいなら「階段を上り下り」しなさい 自律神経研究の第一人者が勧める

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体がダルい日、なかなか調子が戻らないときには、「今日って、尿の回数は大丈夫かな?」と思い返してみてください。おそらく尿の回数が減っているはずです。

そして、トイレへ行って用をたしたときには、必ず色をチェックします。体調が悪く、脱水気味のときには濃い色の尿が出ます。濃い黄色だったり、どす黒くなっている状態です。

そんなときには、とにかくたくさん水を飲んでください。

水を飲んでは、トイレへ行って尿を排出する。それを意識的に繰り返していれば、だんだんと尿の色は薄くなり、最後はほとんど透明の尿が出ます。

その状態になれば、かなり体の不調は治まっているはずです。

ついでに言うと、お酒を飲んでいるとき、すでに脱水は始まっているのでお酒と同じ量の水を飲むことをオススメします。

自分の許容量以上のお酒を飲むと気持ちが悪くなりますが、その要因のひとつは脱水です。脱水によって血圧が下がり、胃腸の働きも悪くなっているので、胃酸が必要以上に多く出て、気持ち悪くなるのです。

お酒を飲むとき、体調が優れないときには、意識的にたくさん水を飲む。簡単なことなので、ぜひ覚えておいてください。

自分に合う「リフレッシュ法」を見つける

最後に「リフレッシュの仕方」についても触れておきます。よいリフレッシュを実践してこそ、1日の中での集中力を一定に保つことができるからです。

まず大前提として、人間の集中力はそれほど長く続かないということを理解しておいてほしいと思います。長くても90分経過すると、集中力は格段に落ちてきます。その状態になる前に、早めに休憩をして、体の状態を整えることが大事です。実際には1時間に1度は休憩することをオススメします。

デスクワークが中心の人は、やはり「動くこと」が大事。同じ姿勢で居続けると血流が悪くなり、コンディションも乱れてくるので、階段を上り下りする、トイレまで行く、簡単なストレッチをするなど、物理的に動くことを意識してください。

また、好きな音楽を聴くと副交感神経が高まり、体がリラックスするというのも実験で証明されています。目を閉じて、1曲だけ好きな曲を聴きながら休憩するのもいい方法です。曲を聴かなくても、何も考えずに目を閉じる(いわゆる瞑想をする)だけでも体の状態は整います。

目を閉じて1〜2分瞑想するだけなら、どんな職場でも可能ではないでしょうか。

ポイントは「疲れたから休む」のではなく、「体のコンディションを整えるために計画的に休む」ということ。この意識が重要です。

小林 弘幸 順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

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こばやし ひろゆき / Hiroyuki Kobayashi

1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』、『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム刊)などの著書のほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)や「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBSテレビ)などメディア出演も多数。

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