アメリカの超名門校卒は本当なのか
それは私が総合商社の人事部に転職して、間もない頃のことだった。
財務担当役員から、「直接話したいので、至急来てくれないか」と内線が入った。「入社早々、何かやらかしてしまったか!?」と、おののきながら役員のデスクに向かうと、こう告げられた。
「萬屋さん、急で悪いんだが、財務部に所属しているAさんの経歴について調べてくれないか」
「Aさんですか。彼がどうかしましたか?」
役員は少し口ごもりながら話し始めた。
「いやぁ、彼って〇〇大(アメリカの超名門校)卒だよね? しかも前職は超大手メーカーの財務部にいたエリートのはずなんだけど……。
頼んだ資料のアウトプットはイマイチだし、どうも財務のことをわかっていない感じがするんだよ。もしや経歴詐称してないかと気になってね」
「えっ。そうだとしたら非常にまずいですね。すぐにAさんに確認して過去の経歴を調べてみます」
Aさんは、アジア圏出身の外国人男性(40代前半)。私と同じく転職してきたばかりで、いわば同期のような存在だった。
まさか入社して最初の任務が、同僚の経歴詐称疑惑の解明から始まるとは、想像だにしていなかった。
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