組織をより良くするための“黒子”として暗躍している、企業の人事担当にフォーカスする連載『「人事の裏側、明かします」人事担当マル秘ノート』。現役の人事部長である筆者が実体験をもとに、知られざる苦労や人間模様をお伝えしています。
連載4回目は、私生活での男女間のトラブルが、会社を巻き込む事態に発展し、本人の社会生活にも大きな悪影響を及ぼしたケースを紹介します。
婚約破棄された女性からの報復
「萬屋くん、これ、どうにかしてくれないか」
大手メーカーの人事部に勤務時代、研究開発部の役員から突然呼び出された私は、あるものを目の前にポンと差し出された。その投げ捨てるかのような動作と、荒々しい声のトーンから、役員が明らかに立腹しているのが伝わってきた。
差し出されたものとは、見ず知らずの女性から届いたという、結婚式の招待状。そこに添えられていた直筆の手紙を読むと、驚きのあまり、思わず手が震えた。
手紙の文面は大幅に端折るが、およそこういった内容が書かれてあった。
〇〇さま(役員の名前)
~中略~
これは、貴社研究開発部に所属するAさんと私が、×月×日に結婚するはずだった挙式の招待状です。Aさんのふしだらな行動により、突然婚約を破棄され、私は生きる気力を失うほど大変傷つきました。そのことを会社の上長の方にも知っていただきたく、ご連絡した次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
これは、貴社研究開発部に所属するAさんと私が、×月×日に結婚するはずだった挙式の招待状です。Aさんのふしだらな行動により、突然婚約を破棄され、私は生きる気力を失うほど大変傷つきました。そのことを会社の上長の方にも知っていただきたく、ご連絡した次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
確かに、招待状の新郎の欄を見ると、入社3年目のAさんの名前がしっかりと刻まれている。私は「まさか彼が……」と、頭を抱えてしまった。
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