中途採用にはびこる「お粗末な」経歴詐称の実態 立派な実績なのに「仕事がイマイチ」でバレた嘘

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すると、すぐさま「検索しても何も出てきません!」との返事があり、やはり睨んだ通りだと思った。ヒット商品の生みの親とも言える人物が、検索して何も出てこないはずがない。

おそらく商品企画部に在籍はしていたのだろうが、プロジェクトに何らかの形で関わったメンバーの一人にすぎないのだろう。

面接でアピールするのは、私はいいことだと思うが、嘘を盛り込んでまで実態より大きく語ってもらっては困る。無論、彼の選考はここでストップ。面接時間を予定よりも30分早くクローズした。

コロナ以降、オンライン面接が中心となり、こうして面談中にリアルタイムで本人情報を調べられるようになった。毎回ではない。怪しい人物だと感じたときだけ実行している。

経歴詐称を防ぐリファレンスチェック

こうした経歴詐称や実績詐称を防ぐためにも、「リファレンスチェック」は有効だ。

リファレンスチェックとは、直訳すると「身元照会」になる。応募者の職務経歴や実績に虚偽がないかどうか、本人の同意を得た上で前職の上司や同僚、部下などに確認できる仕組みだ。

Aさんの経歴詐称問題から警戒心が一層増した私は、とくに管理職の採用時において、「リファレンスチェック」を導入するようになった。

部長クラス以上なら、なおさら必須だ。経営はもちろん、社内の士気を左右するほどの重要ポジションだけに失敗は許されない。

基本的には、リファレンスチェックを行う専門の代行会社に外注し、選考の最終段階で行っている。

これはあくまで私自身の方針だが、できれば「現職の上司・先輩(同僚)・部下」のうち一人でもいいので、現職の関係者にヒアリングできたらベストだと考えている。

現職の場合、「転職が会社にバレてしまうので避けたい」と言う人が多いが、さすがに上司や部下は無理だとしても、誰か信頼できる同僚・先輩にどうにか頼み込んで、応じていただきたい。

現職の会社を最近退職したという元上司や部下でもいい。やはり直近の情報に勝るものはない。その応募者の現在の実力や職場での働きぶりがよくわかる。

リファレンスチェックとは

オンライン面接が主流となった今、画面だけでは見えない応募者の人となりを把握するためにも、リファレンスチェックを導入する企業は増えている。

実際、リファレンスチェックはどのように行われ、そこから応募者の何が読み取れるのか。中途採用の舞台裏について、次回以降、さらに深掘りしたいと思う。

萬屋 たくみ 会社員(人事部長)

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よろずや たくみ / TAKUMI YOROZUYA

人事歴20年以上。大学卒業後、証券会社を経て、米国にMBA留学。経営視点からの人事戦略について学びを深める。帰国後、大手メーカー(売上高数兆円規模)の人事職に。国内外の拠点にて、採用から教育、人事異動、評価・報酬、労務など人事全般を手がけるほか、日々降りかかる社内の難題に取り組む。それらの実績と問題解決力が買われ、異例の30代で本社人事部の部長職に。さらに幅広い業界・業種で経験を積むため、総合商社やメーカー(外資・ベンチャー含む)にて、人事部長として組織づくりや改革に力を注ぐ。

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