会社を出ていったのかと思いきや、どうも社内にある倉庫に逃げ込んでいた模様。倉庫にあった作業服とマスクで変装し、何食わぬ顔で会社を出ていったようだった。
変装した彼女らしき人物を見たという社員の情報でわかったが、あまりにも稚拙で、奇想天外な行動に上司も同僚スタッフも度肝を抜かれた。言うまでもないが、彼女は二度と会社に現れることはなかった。
エージェントはすぐに代わりの候補者を人選したが、クライアントからの信用はガタ落ち。契約上、後任の候補者の成約料はもらえなかったそうだ。
「経歴を少しでもごまかしたら即ブラックリストに載せる」
要注意人物をリスト化しているというエージェントもいた。一度でも危うい人物をクライアントに紹介したら、自社の信用問題にかかわる。もっともだと思った。
紹介を受ける側の人事としても、候補者を事前に厳しい目でチェックしてくれると助かるのは事実だ。
開発者を装う「実績詐称」まで登場
経歴詐称も問題だが、嘘の実績を語ってアピールする、「実績詐称」も厄介だ。
これは、私自身がとあるベンチャー企業で中途採用をしていたときのこと。経験豊富なマーケティング職を募集したところ、40代男性が応募してきた。
経験も実績も申し分ない。「これは期待できそうだ」と、早速私と部下の人事2名体制でオンライン面接を行った。
その男性は、大手メーカーの商品企画部に在籍し、数々のヒット商品を連発。自らを、ヒット商品を開発した一大プロジェクトのリーダーであり、会社に多大な利益をもたらした功労者だと語っていた。
ただ、こちらからの質問の隙を与えないほどの饒舌な話しぶりが、かえって不自然に感じた。相手の息つぎのタイミングでようやく食い込んだ質問に対しても、浅い答えしか返ってこず、「これは嘘だな」とピンと来た。
私は彼の話を笑顔で聴きつつも、こっそり画面の下で、部下にチャットを送った。
「この応募者の名前をネットでサーチしてくれないか?」と。
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