お布施の増額は拒否可能?お寺の疑問に答えます 保存版!寺院との上手な接し方Q&A【前編】
Q これまで葬儀のお布施は、30万円が基準となっていました。ところが菩提(ぼだい)寺檀家(だんか)総代会よりお願いの文書が届き、寺の財政が厳しくなっており、これからは葬儀お布施の基準額を60万円に増額するよう求めてきました。どうすればよいでしょうか。(60代男性)
A 今回のお寺の総代会の文書は、あくまで「お願い」であって「決定事項の通知」ではありません。
また、葬儀によるお布施の基準額を60万円に増額するのは、考える際の基準額を増額することを「希望する」ものなのです。
檀徒(だんと)それぞれに事情がありますから、個々の事情を無視して定額を強制する権利は寺にはありません。寺の厳しい財政事情を考慮して、できる範囲での協力を願う文書と理解し、それぞれが可能な範囲で協力すればいいでしょう。
厳しさを増す寺の財政
こうしたお願いの文書がお寺から出されるのには、それなりの理由があります。寺の財政実態が近年厳しさを増しているからです。
その一例として、法事が近年明らかに減少傾向にあることが挙げられます。
法事は四十九日、一周忌、三回忌(2年目の命日、以下同)、七回忌、十三回忌、三十三回忌、一部宗派で五十回忌とあります。
1990年代までは、十三回忌までは営まれる例が多かったのですが、2010年以降は少子高齢化の影響が大きくなり、一般的には三回忌まで、長くても七回忌までという例が多くなっています。三十三回忌、五十回忌まで営む例は極めて少なくなりました。
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