SNSが災害時の情報インフラとして使えない理由 偽情報すら収益化する姿勢で被災地の活動に悪影響

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東海地方では民放4局が系列を超えて災害時にヘリコプターの取材エリアを分担する「名古屋モデル」を構築して合同訓練を行っている。ヘリコプターは維持や運用に多額の経費が必要だが、支社・支局の統廃合が進み記者が減少しているなかで、災害時の現場取材でも連携を検討するタイミングではないだろうか。

二つめは、ケーブルテレビやローカルメディアとの連携だ。すでに進めているところも多いと思うが、ニュースを扱っていないメディアや自治体の広報、図書館を含めて地域の信頼できる人や組織とのネットワーク構築と広く捉えたい。

町の話題やお店を紹介するローカルメディアは、現状では災害時の連携対象とは見られていないが、町の情報や人のハブとなる人や組織が運営に関わっていることも多く、信頼できる情報を収集する連携先となりうる。

三つめはソーシャルメディア取材のための「情報トリアージ」チームを創設することだ。いくら「便所の落書き」とするにしても、報道の情報源としてソーシャルメディアをゼロにすることはできない。膨大な投稿から必要な情報を取り出す情報トリアージを行うため、専門的な知識を有するチームを系列や媒体を超えて組成する。発災直後に現場に急行して医療を担当する災害派遣医療チーム(DMAT)をイメージするとよいだろう。

いずれも災害発生時から1週間や1カ月など期間を決めた時限的対応とすると導入しやすいのではないか。最も混乱して、現場での取材が厳しい初期段階において信頼できる情報を確保し、現場が落ち着けば各社が独自に取材をすればよい。

仕組みを担う媒体を超えた教育プログラムとネットワークも重要になる。ソーシャルメディアからの取材方法だけでなく、影響工作への理解、災害取材のノウハウも必要だろう。教育プログラムだけでなく、ネットワークを構築して定期的な訓練や研修を行う必要もある。ネットワークがあれば、災害時に各地から現場に派遣して相互協力することで情報空白を埋めることが可能になる。実現のためにはより詳細な検討を行いたい。

信頼できるニュースを自ら伝える

信頼できるニュースを伝えるためにテレビ局が取り組むべきゴールは、災害時に「何かあればここを見ておけばよい」と人々が想起する媒体になることだ。そのためには、ソーシャルメディアなどのプラットフォームに頼らずに、人々に直接情報を届けることができるルートの確立が重要になる。

テレビ各社はYouTubeのような動画サイトに映像提供したり、ヤフーなどポータルサイトへの配信も強化している。しかしながら他企業が運営するプラットフォームを利用しているに過ぎず、人々への情報伝達はコントロール不可能であり、災害時には膨大な玉石混交のコンテンツに飲み込まれてしまう。

人々はテレビ放送から離れつつあり、29歳以下男性単身世帯では7割程度しかテレビ受信機を持っておらず、テレビ受信機離れが進んでいるとの指摘がある(*4)。(普段から)遠い存在となれば災害時に頼りにされることもない。

*4 https://minpo.online/article/part1.html

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