メタの"ファクトチェック廃止"がもたらす変化 誤情報拡散と表現の自由、ネット社会はどこへ向かう?
アメリカのメタ(旧フェイスブック)は運用してきたファクトチェックの仕組みをアメリカで段階的に廃止し、ユーザー参加型の「コミュニティノート」へ移行することを発表した。同社が運営するSNSのユーザー数は33億人とも言われる。日本における同社運営SNSへの影響も避けられないだろう。
メタはファクトチェックの廃止をアメリカで順次進めるが、欧州では従来通りのファクトチェックを続けると話している。日本についての言及は無いが、いずれ同社が運営するSNSへの影響は避けられないだろう。
トランプ次期政権との関係改善を意識した動きともささやかれるが、虚偽情報やヘイトスピーチを抑える“防波堤”として機能していたファクトチェック廃止は、信頼性のあるコミュニティ形成への動きを(少なくとも一時的には)後退させる可能性が高い。
いずれはユーザー参加型のファクトチェック機能の進化という形で“情報の信頼性”に対するシステムの進化が追いつく可能性もあるが、それまでにはまだ時間がかかる。
誤情報の野放しや表現の行きすぎといった問題をさらに深刻化させないため、我々は何を考えるべきなのか。
ファクトチェック廃止の背景
2016年、アメリカ大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利した直後、ソーシャルメディアに溢れるフェイクニュースが大きな社会問題となった。
その中心にあったのは「ユーザーが情報を共有するほど世界はより良い場所になる」という信念を表明していたメタ創業者のマーク・ザッカーバーグが運営するフェイスブックだった。このような背景の中でザッカーバーグは外部のファクトチェック機関と連携するプログラムを立ち上げ、虚偽情報や誤解を招く投稿を精査してきた。
不正確と判断した投稿には警告ラベルを貼り、アルゴリズム的にも表示順位を下げるなどの措置が講じられる。
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