メタの"ファクトチェック廃止"がもたらす変化 誤情報拡散と表現の自由、ネット社会はどこへ向かう?
SNSによる誤情報の拡散速度が極めて速い一方、コミュニティによる検証が十分に機能するまでには時間がかかるため、一時的なデマの流布が起きる危険性を排除はできない。Xオーナーのマスク氏自身もコミュニティノートを「クールだ」と評価しつつ、その不完全さについて認めている。
つまり、まだこの機能は不完全なものであり、正しく機能するまでには、まだまだ多くの改善や社会的な認知の広がりが必要ということだ。
ファクトチェック機関、機能不全のおそれ
別の視点もある。Xやメタといった大きな資金源を失うことでファクトチェック機関への資金の流れが減少することで、世界各地でファクトチェック団体が機能不全を起こし始める可能性がある。
日本で広く使われているSNSの運営主体は主にアメリカの企業ということもあり、文化や言語の違いもあってファクトチェックの国内への導入は後手に回っていた。日本におけるフェイスブックでのファクトチェックも2024年9月と遅かった。
ファクトチェックへの機運が高まったのも、2020年コロナ禍で誤った医療情報が大量に出回り始めたことが大きな理由で、歴史が浅いためファクトチェック団体そのものが少ない。最初に日本の団体が「国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)」に加盟したのは2023年のことだ。
日本ファクトチェックセンター運営委員でもある桜美林大・平和博教授は、Yahoo!ニュース個人で「Xのコンテンツ管理後退で有害コンテンツが急増したとの研究がある。メタの動きも同様に情報の質の低下を招く可能性がある」と指摘したが、それ以前に組織基盤が十分に成熟していない中でSNS大手が次々にファクトチェック廃止へと進むことで、ファクトチェック団体の活動が狭まる可能性があるだろう。
メタは「EU加盟国での廃止は現時点では計画がない」と発表している。英国やEUでは大手テック企業に対するコンテンツ管理の責任・義務を強化する動きが進んでおり、メタがアメリカで進めるような“緩和策”とは逆行している。
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