企業が学生に対して、内定と引き換えに就職活動の終了を強要するケースが増えている。こうした動きは「オワハラ(就活終われハラスメント)」と呼ばれ、流行語にもなりつつある。一定数は毎年あるが、「今年は圧倒的に件数が多い」(都内私大のキャリアセンター担当者)。
早稲田大学のある学生は、ITベンチャー企業の面接で、「ここで就活を終了すれば内定を出すが、そうでないならば次の面接を受けてもらう」と言われた。次の選考に進んだものの、結局落とされてしまったという。こうしたケースでは「とりあえず終わりにすると答えて、隠れて継続しなさい」とアドバイスする大学もあるほどだ。
就活後ろ倒しもオワハラ増に影響
2016年3月卒業予定者を対象にした大卒求人倍率は、リーマンショックで急落した6年前を上回る水準にまで回復している。採用意欲が高まっていることに加え、今年から日本経済団体連合会(経団連)が新卒採用活動の日程を変更したことも人材争奪戦を加速させ、オワハラ増加の一因になった。
これまでは3年生の12月1日に採用広報活動を解禁、4年生の4月1日に選考開始というスケジュールだった。大手企業の採用活動が5月中旬ごろに終わり、その後は中小企業というように、すみ分けができていた。
が、これでは学生が学業に専念できないとの理由で、今年から「3月1日解禁、8月1日選考開始」と後ろ倒しに。このため中小企業は、学生に人気のある大手と、同時期に人材を取り合わなければならなくなった。多くは経団連の会員ではなく、ルールに縛られないため、先に選考活動を開始できる。だが早く内定を出せば辞退も発生しやすくなり、結果としてオワハラが増えたとみられる。
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