大河出演・矢部太郎「人生をつくるプレゼント」 乙丸役が好評、芸人・漫画家などマルチに活躍
紫式部が当時の貴族社会を反映した『源氏物語』を執筆したということ自体が、当時の、そして1000年後の読者に対しての、プレゼントなのかもしれない。
「書くことで読者に何かを手渡すというのは、僕が漫画を描く動機にもつながる考え方です。
『プレゼントでできている』で描いたプレゼントも、1対1で、誰かにプレゼントを渡して、お返しを貰って終わり……という類いのものではなくて、受け取ったものをまた別の誰かに手渡すという、つながりをイメージしています。
漫画を描いている僕自身も『本にして終わり』ではなく、この本を読んだ人にも何かがつながればいいなと思って、描いています。
そんなことを普段から考えているからでしょうか。まひろさんが後に『源氏物語』を書く作家であるということは、意識していますね」
漫画家ならではの視点が、ドラマの役柄にどう反映されているのか、『光る君へ』での矢部さんの演技に注目したい。
紙粘土の人形をあげたら「いらない」
『プレゼントでできている』のなかには、プレゼントを貰うだけではなく、自ら贈るエピソードも多い。そのなかには、プレゼントを贈った結果、微妙な反応をされたというケースもある。
「僕のプレゼント、全然喜ばれないんです。紙粘土で作った人形をあげて『全然いらない』って言われたり、庭で採れたゴーヤをあげて『ゴーヤ好きじゃない』って言われたり。あげたいものをあげるって、ちょっと暴力的だったのかなと思いつつ、でも『いらない』って言われることで、ひとつのコミュニケーションになっているんじゃないかなと思うところもあります。
例えばお見舞いに行って、空気を緩和するために、今使えないものをプレゼントするみたいなボケってありえると思う。必ずしも、ものそのものが大事なんじゃなくて、つながりを持ちたいからプレゼントするわけで、返礼が伴うし、つながりが強固になる。その場のコミュニケーションが成立すればいいのかな、というところはあります」
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