大河出演・矢部太郎「人生をつくるプレゼント」 乙丸役が好評、芸人・漫画家などマルチに活躍

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プレゼントがコミュニケーションだとすれば、相手によって角度を変えることで、唯一無二のやり取りになるかもしれない。無難なプレゼント選びから一歩踏み出すことで、より深いつながりが得られることもあるのだ。

プレゼントを贈る=「誰かに心を手渡すこと」

「プレゼントは、相手に自分を差し出すことだから、時には暴力にもなりますよね。

この本の最後に、直接には示していないけれど、僕が『電波少年』で、イスラエルとパレスチナに行ったときのエピソードが描かれています。僕はイスラエルとパレスチナ、それぞれの街でコントをしました。

(撮影:今 祥雄)

そのときのコントのひとつに、『相手に向けて撃った銃弾が、地球を一周し、巡り巡って自分に当たってしまう』というネタがあったんです。当時、双方の兵士がウケて笑ってくれた。その思い出をもとに描きました。

戦争や暴力は相手に自分の正義や欲望、衝動をぶつけることです。僕はそれも、プレゼントなのだと思うのです。我々が普段思い描くプレゼントとは、まったく違いますが……」

プレゼントでできている
『プレゼントでできている』(新潮社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

漫画では、巡ってきた銃弾の代わりに、リボンをかけたプレゼントが飛んできて、ネタを披露していた矢部さんは、そのプレゼントをギュッと抱きしめる。

誰かに何かを差し出し、相手から何かを返される。

『プレゼントでできている』を読んでいると、その繰り返しが織りなす世界に想いを馳せずにはいられない。笑ったり、しみじみしたりしながらページをめくり、読み終えた頃には、きっと身近な誰かに、プレゼントを贈りたくなっている。

蜂谷 智子 ライター・編集者

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はちや ともこ / Tomoko Hachiya

東京都出身。上智大学大学院文学研究科博士前期課程修了。語学教材の専門出版社を経て2014年よりフリーランスのライター・編集者として活動。住宅・教育分野の執筆多数。1児の母。Facebookはこちら

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