有料会員限定

トランプ大統領が進める外交戦略「FAFO」とは何か、「ふざけた真似をすればどうなるか分かっているな」という外交の狙いとは

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
1月20日、アメリカのドナルド・トランプ大統領がSNSに投稿した画像。グリーンランド領有への野心を隠さない(写真:トゥルース・ソーシャルより)
世界は今、AI革命をはじめとするテクノロジーの激変期にあり、その潮流は政治・経済の構造そのものを変えつつある。そして、その最前線に位置するのが、シリコンバレーだ。本連載では、アメリカにおける政治・経済の深層と、ビジネスの未来を方向づける最新トレンドを、日本のリーダー層に向けて発信していく。

新年の祝賀ムードが冷めやらぬ頃、多くの企業幹部から、1月3日に行われたアメリカによるベネズエラへの軍事介入について意見を求められた。彼らは筆者の回答に戸惑っていた。「ベネズエラ問題よりグリーンランドに注目すべき」と答えたからだ。「なぜグリーンランドなのか?」と疑問を抱いたに違いないが、1月中旬以降の急展開により、その地政学的重要性が今や明白になった。

本連載では、アメリカにおける政治・経済の深層と、ビジネスの未来を方向づける最新トレンドを、日本のリーダー層に向けて発信していきます

グリーンランドは単なる”大きな島”ではない。石油、天然ガス、レアアースを豊富に有する、世界有数の資源拠点だ。ヨーロッパ連合(EU)が戦略的に不可欠とする34のレアアースのうち、リチウムやチタンを含む31種類がグリーンランドに埋蔵されている。

さらに気候変動の進行により、北極海の氷が急速に溶け始め、北極航路の戦略的重要性が増している。北極圏の中心に位置するグリーンランドは今や、アメリカ、ロシア、中国が繰り広げる新たな覇権争いの最前線となったのだ。

中国は「極地における超大国」としての地位を狙い、積極的に南極・北極両極に基地を建設し、砕氷船を投入している。北京が掲げる「氷上シルクロード構想」は、広大な海上輸送ルートと戦略拠点網の建設を通じて、北極地域への影響力を深く浸透させるという壮大な戦略だ。

この中国の戦略を鋭敏に察知していたトランプ大統領は、「中国は北極のあらゆる場所に船を送り込んでいる」と露骨な警戒感を示した。

トランプがマドゥロに突きつけた明確な警告

今年1月4日、米軍特殊部隊がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束した直後、ホワイトハウスが異例の短い声明を発表した。トランプ大統領の写真と共に添えられたのは「No Games. FAFO」というメッセージだ。日本のビジネスリーダーや政府関係者にとって、この略語は初耳だったかもしれないが、その意味を理解することが今や極めて重要だ。

ホワイトハウス公式Xアカウントからのポストにも、「FAFO」の文字が踊る(写真:X投稿より)

米語のスラングである「FAFO」とは、「F**k Around and Find Out」の略であり、「ふざけた真似をすればどうなるか分かっているな」という極めて直接的で強烈な警告を意味する。この言葉は2025年1月にトランプが初めて公式に使用した。当時、国外追放された不法移民の送還便を拒否したコロンビアに対し、トランプがこの「FAFO」を突きつけると、わずか2日後にコロンビアは全面降伏し、その威力を証明した。

次ページFAFOの核心
関連記事
トピックボードAD