大統領に復帰してからわずか1カ月。トランプは世界におけるアメリカの立ち位置を激しく変えようとしている。

「友人を見ればその人がわかる」ということわざが正しいとすれば、大統領ドナルド・トランプは今、2期目で目指す姿を自ら世界に知らしめようとしているのかもしれない。
2月の最後の週、国連総会ではウクライナ侵攻から満3年となるのに合わせてロシアを非難する決議が出されたが、アメリカはトランプの指示で反対票を投じた。世界の秩序を書き換える行動の一環だ。
トランプが加わる「ならず者クラブ」
トランプは、北朝鮮やベラルーシ、シリア、スーダンといった国々とともにロシアに味方し、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、日本、そして世界の大部分と対立した。
大統領に復帰してからわずか1カ月。世界におけるアメリカの立ち位置をトランプがどれだけ激しく変えようとしているかを、これほど露骨に示す動きはない。トランプは第2次世界大戦以降、あるいはそれよりも古くから盟友だった国々と対決する形で、アメリカを世界の主要な「ならず者国家」の陣営に位置づけようとしているのだ。
従来の同盟国との間に生じた亀裂は、アメリカの今後の外交政策に深刻な影響を及ぼす。
アメリカがロシアをはじめとする世界の「のけ者」と手を結べば、ヨーロッパやカナダ、日本や韓国といったアジアの同盟国は独自路線を歩み、アメリカ以外との同盟模索を余儀なくされる可能性がある。全面的なウクライナ侵攻が始まってから3年間にわたり、アメリカと西側諸国はロシアを外交的に孤立させようとしてきたが、ロシア政府を敬うトランプのおかげでロシアは隔離部屋から抜け出しつつある。