アップルはこれまで、“約束どおり”には動いていない。

アップルの最高経営責任者(CEO)と大統領ドナルド・トランプとの会談から数日が経った2月24日、同社は今後4年間でアメリカに5000億ドル(約75兆円)を投資し、2万人を雇用する計画を発表した。また、テキサス州に工場を開設し、人工知能(AI)分野の取り組みを加速させる装置類を製造するという。
「私たちはアメリカのイノベーションの未来に対して強気であり、アメリカで長期にわたって投資を積み重ねていることを誇りに思っている」と、アップルのCEOティム・クックは声明で述べた。アップルはバイデン政権時代とトランプ政権の1期目にも同様の、もう少し小規模な公約を掲げたが、すべてが実行に移されたわけではない。
クックは今回の発表の前週にトランプと会い、会談後、トランプはアップルが生産をアメリカにシフトさせると語った。「彼らがここで生産するつもりなのは、関税を払いたくないからだ」とトランプは知事の集まりで行ったスピーチの中で述べた。
アップルはこの投資により、来年ヒューストンに新設する25万平方フィートの施設でAI用サーバーの製造を開始するとしている。台湾の電子機器大手フォックスコンが製造を担当することになるそれらのサーバーは、アップルがノースカロライナ州、オレゴン州、アリゾナ州、ネバダ州に置くデータセンターの処理能力を拡大するのに役立つ。
iPhone「関税免除」への貢ぎ物
iPhone、iPad、Macといった主要製品の大部分は今後もアジアで生産し続ける。アップルの国外生産拠点は、2016年に大統領に初選出される前からトランプとの間で摩擦の焦点となってきた。
トランプは長年にわたりアップルに「他国ではなくこの国で、そのくそコンピューターとかのあれやこれやを作り始めろ」という要求を突き付けてきた。
この記事は有料会員限定です。
(残り 2038文字 です)
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待