
ドナルド・トランプ大統領は、70年以上にわたって第3次世界大戦を防いできた多国間機関、組織、協定のネットワークを機械的に解体しようとしている。
そのことを知りながら、多くの政府はトランプ大統領の行動を軽くみようとして自らをねじ曲げ、事態は見かけ通りではないと考えようとしている。仮にトランプ大統領が本気であったとしても、ホワイトハウスと対決するような選択肢はないと考えている。
イギリスの政治体制にとって都合のいい言い訳は、イギリスとアメリカの「特別な関係」を維持する必要性を持ち出すことだ。2月27日のホワイトハウスでの会談後、キア・スターマー首相とトランプ大統領はこの関係を維持することを再確認した。
ウィンストン・チャーチルの遺産

この戦略的パートナーシップは、1946年にウィンストン・チャーチル元首相がミズーリ州フルトンでの画期的な演説でヨーロッパ全土に「鉄のカーテンが下りた」と有名な警告を発して以来、イギリスの外交・安全保障政策の要となっている。
チャーチルは、イギリスの戦後史において間違いなく最も重要な演説の中で、「戦争の確実な防止も、世界組織の継続的な発展も、私が英語圏諸国民の友愛的連合と呼んできたものなしには得られない」と主張した。そのためには、「イギリス連邦および帝国とアメリカとの特別な関係」が不可欠だった。
確かに、その関係は常にアメリカよりもイギリスにとってはるかに重要であった。長年にわたり、イギリスの表向きの独立した核抑止力、広範な情報共有、軍事協力、そして世界的脅威に対する共有されたアプローチは、両国の特別な関係によって成り立ってきた。私を含む多くの人々にとって、それはまた、深い愛情、感謝、賞賛によって定義されてきた。
私が生涯にわたって国内政治や国際政治に携わってきたのは、アメリカで政治的洗礼を受けたからであり、私はアメリカびいきを自認している。 だからこそ、アメリカの政権が、アメリカが長い間支持してきた価値観から大きく外れてしまうのを見るのは、とてもつらいことなのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら