「管理職目指す女性が少ない」日本が直面する現実 DeNA南場会長とハイセンスジャパン李社長対談
――中国は上昇志向で昇進への意欲を主張する女性が多いと感じます。それも文化ですか。
李:中国は一人っ子政策が長く、一つの家庭にこの子しかいない。そういう状況なので、男女関係なく、一人の子に教育を受けさせて、仕事も思う存分やってほしい。そんな社会なので待遇に男女差が出にくいということはあります。
私も社長として能力のある女性社員を昇進させたい。社内では「女性だって社長を目指せるんだよ」と話していますし、女性が上を目指しやすい環境はつくるべきです。
ただ、南場会長と同じく管理職の数値目標設定には賛成できません。数値ありきだと適性のない人を登用し、男性が不公平感を感じるかもしれません。女性自身もやりたくないのにやらされたら居づらいですよね。
なぜ管理職になりたい女性が少ないのか
南場:おっしゃっている通りだと思います 。今そんなに管理職になりたくない人になりたいと思いなさいっていうのは違うし、無理がある。男性もそうですよ。やりたくない人に、やりたいと思いなさいっていうのも。
DeNAでの管理職は役割にすぎないので、上下関係がないものですから、マネジメントに関心がある人もいれば、エキスパートとして優秀という人もいる。全員にマネジメントをやりたいと思えというのも無理があります。
でも、なぜ管理職になりたい女性が少ないかという原因を遡ると、どこかで社会的なバイアスを受けて育っている可能性がありますよね。
それを取り除いていくことのほうが重要で、やりたくないという状態なのに数を合わせることを優先するとひずみが大きくなります。
李:教育も関係があると感じます。私の印象ですが、日本の小学校は競争を奨励しませんよね。そうすると社会に出てからマネジメントしたいとか、競争したいとなかなか思わないでしょうね。
――南場会長は女性であることで苦労を感じたことがないとおっしゃっていますが、今の40代くらいの女性までは、例えば学校の成績がよかったときに「女にしておくのはもったいない」とか、「女が勉強できても仕方ない」と言われることが多かったです。
南場:たしかに何をやったらほめられるかっていうのは子どものときは男女でだいぶ違ったかもしれないですね。
私の場合は(若いときに)抑えつけられていた分、自由に対する欲望が強く残りました。だから、やりたいことをやらせてもらえなかったというのが、逆にばねになったところはあります。
今は自由に選べる時代だと思っていますが、抑えつけられているうちに、欲望を忘れちゃったり、自分のやりたいことを修正しちゃったり、ハングリーさを失う人は何割かはいたかもしれないですね。
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