「管理職目指す女性が少ない」日本が直面する現実 DeNA南場会長とハイセンスジャパン李社長対談

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――社業を任せられる人がいたのも大きかったのでは。

南場:いなかったら歯を食いしばってやったかもしれないですし、その状況その状況で我慢しなきゃいけないこともありますよ。

例えばあのとき私は家族に向き合いたかったけど、仕事をどうしても抜けられなかったら、そっちに残ったかもしれないです。でもやりたくないことをやらなきゃいけないって日常茶飯事じゃないですか。

仕事をしたくても洗濯もしなきゃいけないときもあるじゃないですか。これは非常に小さなことだけど、その延長でものすごく大きなことってあるじゃないですか。

本当は犬が死にそうだからずっとそばにいたいのにやっぱり会社行きましたし、それはやっぱり、我慢しなきゃいけないことってありますよ。人間だれだって。

人生で選択肢がないときもある

――ぎりぎりの判断の中で、後悔した経験はありますか。

南場:判断できる状態だったらいいですけど、選択肢がないときもありますよね。ばかばかしい例ですが、家が火事になって、隣の家に燃え移りそうなのに、私デートですって言えないわけで。

選択肢がないときはあるんですよ。本当はこういう生活したいけど、お金が足りないとか、みんなそういうの抱えて生きていると思いますよ。違うかしら。

――南場会長の配偶者が亡くなられたすぐ後に、ウェルク(WELQ)の問題で会見に出られたときのような。

南場:まさにそういうときです。もうどうしようもないことってあります、人間は。

自分の両親の介護の問題があるときに、夫の両親も具合悪くなって。そんなタイミングで管理職になっちゃった。全部は無理って。それは人として選択しなければいけないときもありますよ。

昇進が遅れても、親の面倒をみたいとか、みないといけないとか。せっかくチャンスが訪れたから、経済的に豊かであれば(親を)別の人に見てもらってチャンスを取ることもできるけど、そんなにうまくいかないこともある。

――一度レールを外れても、追いつける社会だったらいいですよね。

南場:そう、1回パスを外れたらもう駄目とか、そういう社会はよくないですね。そしてそういうのが性別によって起こるのがよくない。男性だって起きていますよ。

脂が乗ってきて、希望していた海外プロジェクトに行けるってときに、家族が病気になっちゃうとか。連れて行けないとか自分が行けないとか、全部取ることができない。

問題はジェンダーが理由で諦めないといけない、チャンスが少ないってのは成熟した社会ではあってはいけないということだと思います。

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