いい意味での「朝令暮改型リーダー」は何が違う? 「一貫性がない」と「柔軟性がある」に分かれる訳

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たとえば機械ものであれば「このつまみをもっと回しやすくして欲しい」とか、ITシステムであれば「この画面の配置を変更して欲しい」といった類のものです。

もう一つの「What型の要望」のパターンは、競合がやっていて自社のものにない機能が不足しているという要望です。

これもあくまでも表面的なものが多く、根本的な解決になっていない場合がほとんどであるのと、所詮その機能を追加したところでやっと「敵に追いつく」(しかも周回遅れで)というだけのことですから、あまり本質的なものでないことは明らかでしょう。

ではこれに対してWhy型思考はどう考えるのか?

「流行は乗っかるもの」か「流行は作り出すもの」

あくまでも重要なのはお客様の「ココロの声」です。それは往々にして先述の顕在ニーズとは正反対のものであったりします。よくカリスマ企画者や開発者が言う「お客の声を聞くな」という表現がまさにこれです。これは「口に出して言っていることは信じるな」ということであり、「口に出していない本当のニーズを見よ」という意味であって、顧客を無視しろという意味とは正反対です。

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単に技術主導で顧客を無視した商品と、Why型思考であえて「顧客の声を聞かない」商品との違いがおわかりいただけたでしょうか。

どこの会社でもよくあることですが、現場に出ている営業マンというのはこうしたお客様の生の声をよくも悪くもそのまま真に受けて「こういう商品があれば絶対売れるってわかっているのに何でうちの会社はそういうものを作らないんだろう」という言い方をしますが、これには2つの落とし穴があります。

1つ目は先述のようにこれはあくまでも表面的なWhat型の要望であること、そして2つ目は、What型の要望であるがゆえの宿命として「その要望が陳腐化する」ということです。その声にしたがって商品を開発していたら、できあがる頃にはすっかりその要望はほこりを被ってしまい、その時点での顧客ニーズとはかけ離れたものになっていることでしょう。

「今売れているもの」から発想するのがWhat型の企画、「今ないが売れそうなものはないか」と発想するのがWhy型の企画です。「流行は乗っかるもの」と考えるのがWhat型、「流行は作り出すもの」がWhy型と言ってもよいでしょう。

細谷 功 ビジネスコンサルタント、著述家

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ほそや いさお / Isao Hosoya

1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業後、東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェローとなる。問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。

著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』、『アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く』『問題解決のジレンマ イグノランスマネジメント:無知の力』(以上、東洋経済新報社)などがある。

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