名店を納得させるだけのクオリティで開発できるかが肝になってくる。ここには開発者の血のにじむような努力がある。「すみれ」や「一風堂」は1年、「天下一品」はなんと2年もかかった。
そう簡単に出せるものではないのだ。
「もともと豚骨や豆乳の鍋スープを出していることもあり、知見はあります。豚骨の乳化がほどけないような技術や、風味の出し方など技術を駆使してお店に納得していただけるものを開発しています。現在のペースだと、新しい商品の開発は年に1店舗ぐらいになると思います」(商品企画部 谷口真帆さん)
鍋スープにある「300円の壁」をクリアする価格に…
そして、注目したいのが「売価の安さ」だ。
ダイショーのラーメン店監修の鍋スープの参考小売価格は378円(税込)で 、筆者がスーパーマーケットで買った「名店監修鍋スープ 天下一品京都鶏白湯味」の価格は279円(税抜)。
もちろん、そこにはスーパーの涙ぐましい販売努力もあるだろう。
しかし、300円弱で「天下一品」監修のストレートスープ(濃縮されておらず、希釈せずに使えるスープ)が買えるというのはちょっとすごいことだ。容量は3~4人前の700gとたっぷり入っている。
名店監修のチルド麺やカップ麺が値上がり傾向にある中、鍋スープはぶっちぎりの安さである。ちょっと安すぎると言ってもいいだろう。
「発売したものの根付かない可能性もあるので、他の鍋スープと統一価格にしました。通常の鍋スープよりも容量を少し少なくするなどして工夫しています。社内には値付けを失敗したと言う人もいますが、何とか続けています」(岡田さん)
ここには鍋スープの「300円の壁」があるという。ラーメン店には「1000円の壁」があるが、鍋スープ業界にも価格の壁があったのだ。
「購買層は主婦がメインなので、値段の壁はどうしても存在します。300円を超えると一気に売り上げに響くんです。最近はむしろもっと値段は下がっていく傾向でした。その中で今までの価格をキープできただけでも良かったと思っています。
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