名店監修の「ラーメン鍋スープ」が300円しない理由 ダイショーが市場を開拓、「鍋=冬」常識にも変化

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1991年からもつ鍋スープの発売をスタート。1992年ごろに空前のもつ鍋ブームが起こり、鍋スープの今後の可能性を見いだした。

「専業主婦が多かった時代からだんだんと共働きになり、便利な鍋スープが定着していきました。もつ鍋スープのヒットを受けて、味のバリエーションも増えていきました」(広報室長・森健一郎さん)

ダイショーは主力商品である「焼肉一番」や「味・塩こしょう」が春夏商品だったということもあり、秋冬にしっかり売れるものを模索していた。その中で鍋スープが秋冬の売り上げの柱として頭角を現してきた。

味のバリエーションが増えていく中で、名店監修の商品も増えてくる。「CoCo壱番屋」監修のカレー鍋スープのヒットを受けて、鍋の名店だけでなく、他ジャンルの人気店とのコラボにも活路を見いだし始めた。ラーメン店監修商品の発案者は首都圏営業部の林孝則さんだ。

「実は私はもともとお鍋が嫌いでして(笑)。実家で『今日はお鍋よ~』と言われると毎回落ち込んでいました。

せっかく人気店とコラボするなら、テンションの上がる鍋を作れないかなと考えて、まず思い出したのがラーメン店でした。家でラーメン店の味がお鍋で食べられたら最高だなと思ったんです」(林さん)

すでにニッスイから「山頭火」監修の鍋スープが出ていたものの、ダイショーでもラーメン店監修鍋スープをラインナップしてバリエーションを作っていったら、さらに鍋の可能性が広がるだろうと考えた。

「一風堂」「武蔵」から始まった

こうして2020年から交渉を始めたのが、博多豚骨ラーメンの横綱「博多 一風堂」と東京の醤油ラーメンの名店「麺屋 武蔵」だ。まずこの2店舗のチョイスのセンスが良い。

博多豚骨ラーメンを全国区にし、世界にまで進出したパイオニア「一風堂」と、つねに新しいことにチャレンジして話題を作り続ける「武蔵」は、新たな取り組みをスタートするにはピッタリのお店だ。

博多豚骨ラーメンをウリにする「博多一風堂」(筆者撮影)
麺屋武蔵からラーメン界に広まったものは数知れない(筆者撮影)
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