日本に足りないのは「ローカル」エリートだ!

グローバル「以前」の"エリート"の条件

日本では見えにくくなった「エリート」の意識とは(写真 : foly / PIXTA)
26歳でイギリスのケンブリッジ大学物理学部に留学し、博士号を取得、“Nature Materials”に論文を載せるなど物理学者としての実績を上げながら、現在はオックスフォードで近代日本社会の研究に取り組み、特に教育社会学を学ぶ。地元鹿児島では起業家として教育系NPO法人を設立中。本連載では、領域を超え多岐にわたって活動する30歳・岡本尚也氏が、英国2大名門校、いわゆる「オックスブリッジ」での体験を基に英国流の「知」を語る!

 

前回は、現在進められている「グローバル教育」の問題点から、留学の意味を考えた。確かに留学は、何かのキッカケや可能性を広げる機会にはなる。だが、それを実際に形にしたり、競争力に結び付けたりするための本質は、“留学そのもの”ではなく、目の前の当たり前をしっかりと積み上げていく力だ。また、日本の教育のレベルの高さに、もう一度目を向けてほしいとも述べた。

今回は、オックスフォードで共に学ぶ南アフリカ出身の友人のエピソードから、日本では見えにくくなった「エリート」の意識と「学び」の意義、そして現代日本社会の人材育成に関する意識について考えていきたい。

南アフリカ共和国南西部の都市ケープタウンにある「ライオンズヘッド」という丘の様子

第4回「アメリカの女子大生が『幕末日本』を学ぶ理由」で紹介したナタリアと同様、南アフリカ人のニコラス・デュボアもオックスフォードで日本社会について学んでいる。

日本語のレベルは非常に高く、母国語の英語、アフリカーンス語のほかに、ロシア語も話す。南アフリカ人の父親とロシア人の母親の下にカナダで生まれ、イギリスを経て父の故郷、南アフリカで育つ。20歳で南部アフリカ地域で最も権威あるケープタウン大学を卒業し、日本政府のプログラムで静岡にやって来て、3年間、高校生に英語を教えていた。そして、25歳、今に至る。

南アフリカの「エリート一家」に生まれて

鎌倉を訪れたニックと父親

ニック(ニコラスの愛称)の一家は、南アフリカという国では間違いなく「エリート」だ。父も叔父も双子の弟もオックスフォードで学んでいるとくれば、彼が今、オックスフォードで学んでいるのも半ば必然だろう。

そんな彼が日本に興味を持ったキッカケは、小学生のときに習っていた空手だった。戦いを好まない性格もあって空手はやめてしまったが、以来、遠く極東の島国、日本に興味を持つようになった。

成長するにつれ、その国が敗戦のどん底から復興を遂げ、非欧米諸国でいち早く経済大国になったことに目を向ける。そこで彼は、南部アフリカのトップ校、ケープタウン大学で、経済学のかたわら日本語も学び、日本へ渡った。日本語が堪能であるうえ、母国南アフリカは11もの言語がある多言語国家なので、外国語を浴びる生活にも、苦労はそうなかったという。

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