前回は、オックスフォード大学で幕末日本を研究するアメリカからの留学生の友人との対話から垣間見えた日本社会の疑問点と可能性について書いた。今回はケンブリッジ時代にできたチリ人の親友、アニバル・ゴンザレス(Anibal Gonzalez)から得た学び、彼との思い出、そして日本と世界各国の恋愛の違いについて書いていきたい。
出会った次の日、「いい所に連れて行ってやる」
アニバルとの出会いは、ケンブリッジの研究室でのことだった。同じグループで同じオフィス。出会ってすぐに南米特有の明るいノリで話しかけてきた彼は、ものすごい勢いで自分自身について語り、その勢いのままに、僕のこと、日本のことについて質問を浴びせてきた。スペイン語訛りの強い英語で、当時は何を言っているのかよくわからなかったが、どうやらアジア系の女性が好みだということはよくわかった。
そして出会った次の日、アニバルに「いい所に連れて行ってやる」と誘われ、初対面のインド人の女の子と共に連れ出された。どこに行くのかは、何度聞いてもよくわからない。大丈夫か?? と思いながらついていくと、たどり着いたのは大学の美術館(比較的大きな規模で著名画家の作品もある)だった。美術品を見ながらお酒を飲むという、何とも優雅なパーティが行われるらしい。
おお~、ケンブリッジらしい! と思ってお礼を言うと、「じゃ、楽しんで」とアニバルは笑顔を振りまきながら群衆の中に消えて行った。「は? いきなり放置?」。インド人の女の子と顔を見合わせると、アニバルの笑い声が遠くから聞こえてきた。しょうがなく、初対面だが友達のいない者同士の2人で回って、それなりに美術館見学などを楽しみ、帰宅した。
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