英国で緊急討論! 「告白」は気持ち悪い? 白黒させること、させないこと両方の意味

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後日、確認したら、彼もほかに友達が来ていたというわけではなかったらしい。「なぜ僕たちと一緒に回らなかったの?」と聞くと、「ああいう所に行ったら、どんどんネットワーク広げなきゃもったいないだろ?」。

ケンブリッジ大学のキングスカレッジ

誘っておいていきなり放置するのはどうかと思ったが、その後の留学生活では、この言葉からの大きな影響を受けた。

第1回でも書いたが、こちらでは人と人との垣根が本当に低く、パブで飲んでいても食堂でご飯を食べていても、自己紹介もしないまま会話に知らない人が入ってくる。

知らない人のほうが自分にとって未知の情報を持っている可能性が高く、会話にバリエーションが出てくる。好奇心が強い者はみんな、自分にとって未知のことを知りたがるし、ネットワーキング力はそこで大きな力を発揮する。

クッキーを食べながら研究用のパソコンでネットゲーム

研究室での彼は、とにかくやかましい存在だった。彼は基本的にパソコンの前にいた。コンピュータを使ってシミュレーションをするためだ。一方の僕にとって、パソコンの前に座るのは大体、解析や文章作成の時間だった。実験がメイン、それを終えたら結果を解析し、まとめるタイプの研究を行っていたからだ。集中して解析をしていると、彼の大きな笑い声が聞こえてきた。

振り返ると、クッキーを食べながら研究用のパソコンを使ってネットゲームをし、「So funny!」と言いながらゲラゲラ笑っていた。「うるせー!」と言って何度か物を投げつけたことがある。博士過程でこういうことをする人は少なくとも日本にはいない(と思う)。僕も決して人のことを言えるわけではないが、「こいつ、ちゃんと研究してるのか? ふまじめなヤツだ!」 と思っていた。そして、研究者としてのアニバルにはあまり注目していなかった。

日本に行きたいから、研究者を紹介してくれと言われたときも、恩師を介して仲介はしたが、出発前にしっかりやらないとグループに迷惑かかるぞと何度もくぎを刺した。日本の女の子をナンパしに行くんじゃないだろうな、とさえ思っていた。

研究結果は出す! 4本の論文すべて一流誌に掲載

しかし、僕の考えは型にはめた単なる「思い込み」だった。彼は在学していた3年半の間に4本の論文をすべて一流ジャーナルに載せた。これは、どこに出しても胸を張れる業績だ。日本での研究も3カ月と短い間だったが、しっかりと結果を残して帰ってきた。人間はそう簡単に計れるものではない。アニバルには、ふまじめな部分もあるが、それは一面にすぎない。彼の人間性は大きな広がりを持っている。表面的な印象から、僕はそれを無視してしまっていたのだ。

ほとんど毎日のように、日本のウェブメディアの記事タイトルには「勝ち組・負け組」や「デキるヤツ・デキないヤツ」という言葉が見つかる。でも、人間って2種類にキレイに分けられるのだろうか? ある一面のみを見て、2種類しかないシールのどちらかを張って、それぞれを集めた箱に仕分けてないか?? 分類どおりの面が見えると「やっぱり」、そうじゃない面が見えると「偶然」ということにして、やっぱり決め付けの箱からは出そうとしない。些細なきっかけから考えたことだが、この現象は日本社会のあちこちで見ることができる。

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