前回までは、ケンブリッジでの寄宿舎生活、異分野交流の中に生まれる斬新な発想や、英国式の学び・研究の場のあり方を紹介してきた。今回は、私が今、オックスフォードで学んでいる「日本社会」について書いていこう。
私が所属しているオックスフォード大のNissan Institute of Japanese Studiesは1981年に名前のとおり日産がオックスフォード大に出資をして創設された現代日本社会について教育、研究を行う機関だ。現在15人ほどのスタッフと20人ほどの大学院生がいる。初めは、オックスフォードで日本社会について学べることに少しの驚きがあったが、このコースで学ぶにつれてその意義と重要性がよくわかるようになった。
まず、ここにはどのような学生がいて、彼(女)らがなぜ日本について学んでいるかひとりの学生に焦点を当てて紹介しよう。話を聞いたのはナタリア・ドーアン。利発という言葉がぴったり合う知的好奇心と学ぶ意欲にあふれたアメリカ人学生だ。
名門ヴァッサー大学で学び、日本へ!
彼女のプロフィールを簡単に紹介すると、1989年カリフォルニア州生まれ。バージニア州育ち。名門ヴァッサー(Vassar)大学で日本語を学び20歳で栄誉賞と共に卒業。在学中から日本へたびたび渡航し、東日本震災の復興支援プログラムであるキズナ強化プロジェクトやFuture Global Leadersプログラム、日本企業で働いた実績もある。昨年には、日本で学んだり働いたりしたい外国人向けに日本のことを紹介する“How to Work, Travel, and Study in Japan.”という本も出版した。今回のインタビューも、本人の希望により日本語で行うことになった。
彼女が日本に興味を持ったキッカケは、最先端の日本製のロボットだった。それから何かと日本のものが目に入るようになり、もっと知りたいという好奇心から日本語と日本文化・歴史を学ぶようになった。そしていつの間にか日本が大好きになっていった。なぜ日本が好きかと聞かれることが多い彼女は、理由をその都度、考えるが、それは言葉ではなかなか表しにくい。人を好きになる理由を明確に言えない感覚に近いのだという。
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