半チャンラーメンが「消滅」していく"切ない理由" 町中華メニューが以前より簡単に提供できぬ背景

✎ 1〜 ✎ 51 ✎ 52 ✎ 53 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

まず、ラーメンの「1000円の壁」問題が想像以上に進展した。ラーメン単品で1000円で提供することが難しい中、半チャーハンをセットで出すというのはまったく現実的ではない。

半チャンラーメンは持ち物件で、家族経営で運営していてランニングコストの高くない老舗の町中華だからこそ、提供できるメニューなのである。

「たいよう軒」はラーメン500円、ラーメン&半チャーハンは750円(筆者撮影)

「たいよう軒」のラーメン&半チャーハンはなんと750円。

今この価格帯で半チャンラーメンを提供できるお店がどれだけあるだろうか。ラーメン単品でも750円で出すのは難しいのではないだろうか。

薄れる「家業」という考え方と「後継者問題」

町中華においては、「後継者問題」がネット上で指摘されることがよくある。しかし、筆者はこれについては、現実は少し違っていると感じる。

実際は、後継者や店の存続についてははなから考えておらず、自分の代で終わりにしようとしているお店が多いのが現実である。「家業」という考え方は薄れてきており、弟子でも入れない限り承継はない。だが、家族や親戚でない人を雇用すれば賃金問題が発生し、値上げせざるをえなくなる。

つまり、町中華の後継者問題は、「1000円の壁」問題とセットなのである。

町中華とともに姿を消しつつある「半チャンラーメン」。後継者のいない老舗は本当にいつなくなるかわからない。食べたいと思ったらすぐ、迷わず足を運ぶようにしたい。

この連載の一覧はこちら
井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事