ソニーはなぜ「銀座の一等地に公園」を作ったのか 公園を「再定義」して見えてきた"らしさ"の本質

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――どこがソニーらしいと評価されたのでしょうか。

永野:建て替え中の空間をそのまま使って公園にしているユニークさを、ソニーらしいと評価してもらえたのです。また、公園という場とソニーというブランドが一体となって認知されていることが確認もできました。そこで2年目は、自社の企画をやっていこうとなったのです。

歴代の「ウォークマン」を実際に聴けるようにした理由

――どんな企画をやったのですか。

永野:「ウォークマン」の40周年記念イベントをやりました。歴代の「ウォークマン」を聴ける場ということで企画したのですが、初代も含め、歴代の「ウォークマン」の中にカセットテープを入れて、実際に聴けるようにしたのです。

歴代の「ウォークマン」を聴けるようにした(写真:Ginza Sony Park Project)

――そういう貴重なものは「触らないでください」という表示が付されて、展示されるものですが……。

永野:それではおもしろくないし、訪れた人に楽しんでもらえないと思ったのです。会場に公園の遊具のような場所を作ったのですが、寝そべりながら聴いたり、壁にもたれて聴いたり、それぞれがそれぞれの楽しみ方をしている。3年にわたってそういうユニークな体験のできるイベントを行い、854万人の来場者がありました。

壁にもたれたり、寝そべったり、それぞれが思いおもいの方法で音楽を聴いた(写真:Ginza Sony Park Project)

――コロナ禍を挟んでの数字ですよね。

永野:コロナ禍がなければ、おそらく1000万人を超えたのではないかと思います。そして僕らが学んだのは「余白プラスアクティビティ」ということ。「余白」のある場で、イベントなどの「アクティビティ」を行うと、心躍る場にいるというモードチェンジが起きる。そういったものを備えた公園こそ目ざすものという方針が明確になりました。

――完成後も定期的にイベントをやっていくということですか。

永野:「ソニーが作る都会の中の公園」が、僕らが定義したことですから、続けていくつもりです。訪れると心躍る発見がある。そのためには、ハードだけでなく、ソフトとしてのコンテンツを発信し続ける必要があります。

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