ソニーはなぜ「銀座の一等地に公園」を作ったのか 公園を「再定義」して見えてきた"らしさ"の本質

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――再定義とはどういうことでしょうか。

永野:このプロジェクトにおいて、僕らが大事にしたのは「再定義する」「世の中に問う」「未来への一歩となる」という視点でした。まず、再定義すること自体がソニーらしいととらえたのです。

過去においても、たとえばウォークマンは、家の中で聴くのが主流だった音楽を戸外に持ち出したし、プレイステーションは、それまで主に子ども仕様だったゲームを大人も楽しめるものにした。アイボは、仕事をサポートするロボットを人が可愛がるものにしたと、いずれも世の中の常識を再定義してきたのです。

銀座の街の中に「余白」を作る

――公園の再定義というと、どういうことになるのでしょうか。

永野:公園とは何をするところだろうと考え、モードチェンジする場ととらえました。自分の気分やリズムを変えることができる。それが公園の果たしている役割のひとつではないかと……。さらに、モードチェンジはどこに根ざしているかと掘り下げていった末、「余白」に行き着いたのです。

普通の施設は、買い物するとか、飲食を楽しむとか、音楽を聴くとか、あらかじめ目的が設定されていますが、公園にはそれがない。どう過ごすか、何をするかは訪れる側に委ねられているのです。そこで、密度の高い銀座という街の中枢に、「余白」を作ろうと考えたのです。

――「ソニーパーク」は、地下には飲食や物販もありましたが、基本的にはがらんとした空間で、人々が好き勝手に過ごしている。いろいろなイベントもやっていましたね。

永野:年に3、4回、イベントを企画・運営していました。最初の1年間は、ソニーとは関係のないプログラムに徹したのです。ローラースケート場を作ったり、アートブックフェアをやったり、テクノロジーを使った未来の運動会みたいなこともやりました。

テクノロジーを使った未来の運動会(写真:Ginza Sony Park Project)

――ユニークで楽しそうな企画ばかりです。すべてが新しい試みですね。

永野:不安がなかったかというと嘘になります。この場が公園に見えているのかどうか、そして何よりソニーのブランドに貢献できているのかということです。それで1年経った頃、来場者にアンケートをしてみたのです。「この場をどう思いますか」という問いに対し、筆頭で上がってきたのが「ソニーらしい」でした。

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