絶好調ドンキ「脱トップダウン経営」で起きた変化 安田創業会長が情熱注ぐ「パーティー」の中身

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――吉田さんは2019年9月の社長就任から、PPIHの変化をどう見ていますか?

就任直後、いちばん記憶に強く残っているのが「9月からのキャンペーン、本当にやっていいですか?」と営業担当が聞きに来たことだった。思わず、「なんで聞くの?」と言ってしまったほど。

――それまではトップダウン経営だった。

あるレベルを超えると、現場への権限委譲が一時的になくなるのが、うちの会社だった。そこは今、みんな連携しながらやれるようになっている。「これ、やっていいですか?」と聞きに来ると、それを判断するのが数人だったが、今はそうとう増えている。

心に刺さったコスモスの営業

海外を含めると700店舗以上あり、僕たちの仲間は国内外に9万人いて、全部の店を行く人もいない。

PPIHの吉田直樹社長
社長就任から4年が経ち、若い経営メンバーの成長に手応えを感じているという(撮影:尾形文繁)

僕が入社した時に驚いたのは、「これは、この人にやらせたほうがいい」などとお互いをよく知っていたことだ。会社が大きくなって不可能になったことは多い一方で、たとえばテレビCMについて僕が意見を言おうとしたら「吉田さん、今日は決裁をとりに来たのではなく、情報共有です」と(笑)。

過去4年で営業、商品などの担当役員が育ってくれた。とくに40代を中心とする若い経営メンバーの成長をすごく感じている。

僕は営業出身じゃないし、全部を決めることは難しい。ディスカッションしながら、互いに切磋琢磨できている。「やっぱり会長や社長に言っておいたほうがいいかな」とならず、担当者たちが進めてくれるようになったのは大きな変化だ。

――ライバル、あるいはロールモデルと意識する会社はどこですか?

やはりディスカウンターだ。具体的にはコスモス薬品がすばらしくて、彼らも僕らのことをよく研究されている。この間、コスモスにドリンク剤を買いに行ったら、若い店員さんがチラシを出して「これ、すごくマズいけど効くんです。今売れています」と営業をかけてきた。そんな言われ方をすると刺さるし驚く。

基本的に現金しか使えないロピアも大好き。オーケーは社内にもファンが多い。彼らのシンプルな店作りはドンキと対極だけど、すごく伝わるものがある。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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