心理的安全性と聞くと、「仲良しサークルのような居心地の良い職場をつくること」と誤解されることがよくあります。
対人関係のリスクを下げるために誰かを不快にさせないように気遣いをしたり、失敗やミスがあっても指摘せずにやり過ごす。気になることがあっても率直な進言を避けて、遠回りな物言いで誤魔化してしまうことは珍しくありません。
心理的安全性にまつわる誤解
しかし、こうしたふるまいは、チームの改善や学習力の強化を妨げてしまいます。前述のエドモンドソン教授 によると、グループの人間関係に影響を及ぼす環境の構成要素として、心理的安全のほかに責任があり、この責任の高低が組織の状態を規定すると言います。以下、各象限で起こる組織の状態を紹介します。
●快適(Comfort Zone) 心理的安全性は高く責任は低い職場では、仲良く、楽しく仕事ができますが、チャレンジが生まれにくく、学習やイノベーションの妨げになります。
●不安(Anxiety Zone) 責任は高く心理的安全性は低い職場(完全歩合給のコミッションセールスのような組織)では、基準が高すぎて不安が生み出される傾向があります。
●学習(Learning Zone) 心理的安全性と責任のどちらも高い職場は、メンバーは協働しやすく、互いに学習し、仕事をやり遂げることができる理想的な状態です。
以上のことから、仕事を進めるには、心理的安全性を担保し適切な責任を与えることで、メンバーが切磋琢磨し、高い成果に向かっていく流れをつくることが理想です。
心理的安全性を高めるには、3つのステップを意識して取り組むことが重要です。すなわち、個人(リーダー自身)を整え、リーダー・メンバー2者間の関係性を円滑にし、複数人数のチームの土壌を耕していくという、影響レベルを内から外に拡げていく営みです。
リーダーは、職場で影響力のある存在です。リーダー自身の心理的安全性の確保なくして、職場の安全性は担保されません。
まずは、リーダー自身が不安や恐れ、怒りを手放してメンバーや職場にしっかりと向き合える心のゆとりや余裕を持つことから始めましょう。
次にメンバー個々人の価値観や背景を理解し、相互信頼の土台を築く。さらにはチーム(職場)全体として共通の目的のもとにつながりを感じながら切磋琢磨できるカルチャーを育むことが重要です。
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