「試験では力を出し切った感はありました。これでダメなら、来年どれだけやってもダメだと思い、悔いはなくなりましたね。とはいえ、合格発表の結果を知るのは怖かったので、自分では現地には行かず姉に見に行ってもらったんです。姉の連絡を待っていたら、友達から電話がかかってきて、『合格してたよ!おめでとう!』と言われました。
それでいったんホッとしたのですが、姉からも電話がかかってきて『(番号が)ない!ない!ない!』って言っていまして……。受かって嬉しいという気持ちがなくなって、不安になりました。後日、東京大学から合格通知が郵便で届いて初めて合格が分かったので、実感がわかなかったですね(笑)」
後から姉は後期試験の合格者発表のほうを見ていたことが判明し、慌ただしい合格発表前後だったようですが、この1年の取り組みと結果には「スッキリした」と語るように、納得いくものだったようです。
焦らず着実にこなすことの大切さ
こうして1浪で東大に入学した岡島さん。
浪人してよかったことを聞いてみたところ、「自分で計画を立て、自分を律しながら頑張る姿勢が身についた」と答えてくださいました。また、頑張れた理由に関しては、「前年度に力を出し切れず悔しい思いをした」ということが大きかったそうです。
「この1年で、物事のメリハリをつけられるようになったと思います。夜遅くまで勉強をしてもよくないと思っていたので、その日の課題が終わっていなくても12時には寝るということを徹底しました。
われわれの時代は浪人をする同級生が多かったですし、田舎にいたから周囲(の受験生)をそんなに気にせずに、友達と一緒に勉強できたのはよかったですね。『浪人の友は一生の友』という言葉がありますが、同じ焦燥感・閉塞感を抱えた友達と一緒に勉強できたから、将来に対して抱く不安な気持ちが緩和されたのだと思います」
「当時できた友達は今でも仲良くしてくれています」と、一生ものの友人を浪人生活で作ることができた岡島さん。また、浪人を通して物事への取り組み方も変わったことがあったそうです。
「今思うと、当時まだ未熟な子どもであった私が大学入試に落ちたこと自体は、自分の人生の中ではそんなに大きな挫折ではないと思います。ですが、焦らず着実に目の前のことを1つひとつこなすことが大事なのだと浪人のタイミングでわかったことが、今の人生に大きく生きていると思います。たっぷりあった時間を、文学や哲学などの様々なジャンルの本を読んでインプットすることに費やせたのはとてもよかったですね」
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