上司に進言、うまくいかないのには理由がある 言いづらいことを伝えるためのスキルとは?

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私も日々、リーダーたちに厳しいこと、動揺させることを言わなくてはならない場面がある。

自己防衛心から苛立ちを露わにする人もいれば、自分の意図と実際の行動がどれほどかけ離れていたかを指摘されて、ひどくショックを受ける人もいる。仕事柄、私はどうしてもリーダーの心の奥深くにある問題を刺激する存在となってしまう。

だからこそ、どんな反応が来てもいいように心構えをしておかなくてはならない。彼らに怒りを向けられたとしても、私個人への攻撃や批判だと過剰に受け止めず、そうした怒りの感情を活かして彼らがよりよいリーダーになれるよう手助けしなくてはならないのだ。

耳が痛いこともウェルカムマインドで

どうすれば「単刀直入さ」と「寄り添い」を同時に示せるのかと尋ねられるたび、私はこう答えている。

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「私にとってもっとも怖いのは、私が言ったことに対するリーダーの反応ではありません。一番怖いのは、本来避けられたはずの大問題に直面したとき、彼らに『こうなることがわかっていたのに何も言わなかったのか?』と言われることです」

同僚や部下の活気ある声を養うことをやめてはならない。彼らの声を促し、その声を待ち望んでいたと言わんばかりに、ウェルカムマインド(受容的な心や思考)で受け止めよう。

私はどの顧客にもこのような至ってシンプルな判断基準を伝えているーー。週に何度かあなたの執務室にやってきて、耳が痛いことを伝えてくれる部下がいないのであれば、あなたのリーダーシップはまるっきり駄目だということです、と。

ロン・カルッチ 経営コンサルタント会社Navalent共同設立者

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ロン カルッチ / Ron A. Carucci

経営コンサルタント会社Navalentの共同設立者であり、ワシントン州シアトルを拠点とするマネージング・パートナー。30年以上にわたり、4大陸25カ国以上で、世界で最も影響力のある経営者たちが戦略、組織、リーダーシップの課題に取り組む支援をしてきた。現在、ニューヨーク大学のEthical Systemsの諮問委員会所属。以前はフォーダム大学大学院の組織行動学の准教授、Center for Creative Leadershipの非常勤講師を務めていた。講演者としても活躍しているほか、ハーバード・ビジネス・レビューやフォーブスに定期的に寄稿している。

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