上司に進言、うまくいかないのには理由がある 言いづらいことを伝えるためのスキルとは?

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しかし多くの場合、そうして相手の前にもう一度姿を現し、フォローアップを行うことが何より大事だったりします。"自分の主張がうまく伝わった"と思っても、大抵は実際に変化を起こすために必要なコミットメントを相手と交わせていないことが多いからです。

もう1つ重要なフォローアップは、あなたのアイデアや観点に賛成していない人に対するものです。あなたの提案によって、立場が脅かされたり気分を害したりする人がいるかもしれません。その場合、勇気を持って本人に直接フォローアップをする必要があります」(ディタート氏)

「有能な勇者」になるために

さらにディタート氏のアドバイスに以下のことを加えてみよう。

【相手の味方になる】
権力者は敵だ、馬鹿だ、と考えて話してはいけない。彼らに対して厳しいことを言う必要があるときには、ポジティブな態度を保ち、自分は彼らの味方であると示そう。感情に身を任せて怒りをぶつけるのではなく、彼らの役割や状況における困難に寄り添いを示そう。声を上げる動機が、利己心や悪意、怒りになっていないかよく注意しよう。
【より大きな善が危ぶまれていることを伝える】
声を上げる際には、その問題を「彼ら」に限られたものと考えてはいけない。より大きなミッションやバリューが危機に晒されていると考えるべきだ。彼らの行動によって起きる長期的な影響を指摘し、彼ら自身、あるいは組織のバリューにもっと合致した代替案を提示しよう。彼らも自分の選択や行動が広範な影響を及ぼすことがわかれば、過度に自己防衛に走ったり抵抗を示したりする可能性が低くなる。
【説教をしない】
あなたの考えはあなたが普段から口にしている信条に基づくべきだが、声を上げる際には、そうした価値観を相手に押しつけてはいけない。自分の倫理観が相手よりも優れているように思わせたり、相手に「批判された」と感じさせたりしてしまうと、相手はそこで心を閉ざしてしまう。

厳しいことを伝える際には、無理やりアドバイスに従わせようとしてはいけない。あなたの役割は相手に新たな選択肢を与えることであって、最終的な決定権は相手にあるのだ。その点を明確にしつつ、手助けは惜しまないことも伝えよう。

また、こうした話し合いの際には、自分がどんなリスクを負っているか理解しておかなくてはならない。話し合いがうまくいかなかった場合に、その代償を支払うこともいとわない姿勢が大切だ。

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