上司が"パーパス"語るほど従業員が不信感のなぜ 浸透しない理由は社内の情報伝達不足ではない

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上司の男性
立派なパーパスを掲げても、従業員がシラけている雰囲気があるとしたら……(写真:takeuchi masato/PIXTA)
企業の存在意義や社会への貢献について明確に示した「パーパス」を掲げる企業が増えています。
アメリカでコンサルティング会社を経営し、ニューヨーク大学で倫理体系の諮問委員会に所属するロン・カルッチ氏は著書『誠実な組織 信頼と推進力で満ちた場のつくり方』の中で、パーパスドリブン企業(パーパスを起点に経営戦略を立てるなどしている企業)がさまざまな面で競合他社に勝ることや、仕事のあらゆる側面をブランドパーパスに結びつけている企業は収益成長率が大きい点などを紹介。
一方、パーパスを掲げながら実態が伴わない「パーパス・ウオッシュ」に警鐘を鳴らします。同書から一部を抜粋・編集し、「パーパス」について掘り下げてみます。

パーパスは「実行」がすべて

パーパスとは、「うわべだけのものがいずれ本物になる」ようなものではない。本心から生まれたものでなければ、そのパーパスはないのと同じだ。そしてそのようなうわべだけのパーパスは、人々にもすぐに見抜かれる。どうすれば企業はパーパスと行動に一貫性を持たせられるのだろう?

購入時にその製品ブランドの信頼性を気にする消費者は84%だが、実際に信用しているのは34%のみ

その答えを知るために、私はコンテキシス(Contexis)グループのCEOであるジョン・ロスリング氏に話を聞いた。コンテキシスはロンドンを拠点とする世界的なコンサルティング・リサーチ会社で、企業が戦略的成長を促す方法としてパーパスを理解、評価できるよう手助けを行っている。

ロスリング氏はこのように語る。「データから明らかになったのは、ただパーパスを持つだけでは不十分だということです。従業員はそのパーパスが実行されるまで信用しません。頭では理解するかもしれませんが、心から信じられるようになるのは、そのパーパスに沿って行動する会社の姿を見てからです」

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