人生100年「先生だって人生の正解はわからない」 失敗さえも学びにし、自由な発想を面白がろう

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赤司:既にある「正しい道」を教えるだけなら、それこそAIでもできる、という話になっていきますよね。

住田:そうですね。生徒の発言や行動に表れる「その子らしさ」をどう拾っていくか、そしてどのくらい一緒になって面白がれるか。それこそが人間にできることではないでしょうか。否定するのではなく、自分の言ったことを一緒に面白がってくれる先生がいる学校は、きっともっと楽しくなりますよ。

先生が自由な発想を面白がれる学校現場か

赤司:新陽高校の先生たちを見ていても思うことですが、いわゆる探究学習の授業を設計するのが得意な先生と苦手な先生がいます。

「正解」を教えるのに慣れている先生は、探究学習の授業でもどこかにそれを埋め込んでいたり、生徒を誘導するような課題設定だったり、いずれにしてもアウトプットのイメージが先行してしまいがちです。そうすると、うまく授業が進んでいるように見えても、生徒がワクワクして探究することが少ないように感じます。

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住田:中学も高校も教科担任なので、自分の教科を極める方向にどうしても行ってしまいますよね。そうすると総合的横断的に探究するというのが苦手になってしまうケースが多い。

赤司:「どうなるかわからないけど、やってみよう」という先生のほうが、とてつもないアイデアを生徒たちから引き出すことがあります。もちろん失敗もするのですが、失敗さえも学び。わからない、自分では思いつかないことを面白がるというのは大事なポイントだと思います。

住田:先生が自由な発想を面白がるには、学校現場で自由にものが言えること、本音を言っても大丈夫という心理的安全性が担保されていることが必要です。

しかし実際はどうでしょうか。これまで子供の学びの空間をどうするかという視点はありましたが、教職員の働く場としての空間のあり方は見過ごされてきたように思います。教育業界に携わる私たちこそが、そのことを真剣に考えなければなりません。

後編に続く)

住田 昌治 湘南学園学園長

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すみた まさはる / Masaharu Sumita

1958年生まれ。横浜市立永田台小学校校長、横浜市立日枝小学校校長を経て、現在学校法人湘南学園学園長。教職員や児童生徒が自律自走するための学校組織マネジメント・リーダーシップ、働き方等について執筆や全国各地で講演を行っている。著書に『カラフルな学校づくり』(学文社)、『管理しない校長が、すごい学校組織をつくる!「任せるマネジメント」』(学陽書房)、『校長先生、幸せですか?』(教育開発研究所)などがある。

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赤司 展子 札幌新陽高校校長

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あかし のぶこ / Nobuko Akashi

札幌新陽高校の「複業する校長」。早稲田大学商学部卒業後、三井物産、アルフレックスジャパン、UBS証券を経て2007年PwC Japan入社。被災地支援の一環で福島県双葉郡の教育復興プロジェクトを推進。2018年「学びの多様化」に取り組むため独立しウィーシュタインズを設立。2021年4月より札幌新陽高校の校長を務める。ウィーシュタインズ株式会社代表取締役、NPO法人インビジブル理事、社会彫刻家。

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