ChatGPTに「積極的な企業・否定的な企業」の決定差 日本企業の72%が生成AIの利用禁止という衝撃

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日立製作所では、生成AIを手がける専門組織を設立したという(写真:takeuchi masato/PIXTA)
日本企業も、ChatGPTの積極的な活用に向けて動き出した。SNSデータの分析を製品の販売活動へとつなげた例もある。その反面で、大多数の日本企業は、情報セキュリティの観点から、ChatGPTの活用に消極的、ないしは否定的だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第104回。

三井化学の新しい取り組み

三井化学は、ChatGPTとIBM Watsonを融合することで、三井化学製品の新規用途探索の高精度化と高速化の実用検証を開始した。製品の売り上げやマーケットシェアの拡大を目指す。

同社の4月12日の発表によると、2022年6月から、IBM Watsonによる新規用途探索の全社展開を行っているが、これまでに、20以上の事業部門が、100以上の新規用途を発見した。

事業部門の1つのテーマにつき、500万件以上の特許・ニュース・SNSといった外部のビッグデータをIBM Watsonへデータ投入し、さらに、三井化学固有の辞書も構築した。

例えば、SNSデータの分析では、「ある地方電鉄の車中で、カビ臭い」という投稿が多いことを見つけ出し、従来の営業手法では思いつかなかった電車内の防カビ製品の販売活動へつなげたという。

ただ、この方法では、新規用途の発見には、時間がかかる。そこで、ChatGPTを活用することによって、ニュース、SNSなどのテキストデータから、注目すべき新規用途を生成・創り出し、さらに、注目すべきとする根拠や外部環境要因を明らかにして、新規用途探索の精度とスピードをアップさせることで、新規用途の発見を激増させる。

さらに、ChatGPTの1つであるMircosoftのAzure OpenAI等を活用した実用検証を開始した。IBM Watsonの利用に慣れていないユーザーでも、短時間で新規用途が発見可能となった。これまでIBM Watsonを活用して発見してきた新規用途の情報をChatGPTへフィードバックすることで、新規用途創出の自動化の実現を目指す。

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