一方、日立製作所は、5月15日、生成AIを手がける専門組織を設立したと発表した。データサイエンティストやAI研究者と、社内IT、セキュリティ、法務、品質保証、知的財産など業務のスペシャリストを集結し、活用を推進すると発表した。
今後、この組織が中心となって、文章の作成・要約や翻訳、ソースコード作成など、日立グループ32万人のさまざまな業務で生成AIの利用を推進し、生産性向上につなげるノウハウを蓄積する。さらに、顧客に対しても、安心安全な利用環境を提供する。
どんな使い方を想定しているのか
同社のウェブ記事(ChatGPTで話題の「生成AI」とは? 働き方を変える最新技術、2023年8月28日)によれば、次のような利用が可能だ。
まず、企画を立てるとき、資料のたたき台を作ることができる。また、セールスやマーケティングでの活用や、ECサイトのロゴや商品紹介文を大量に生成させて、反応が一番いいものを残すという利用法も可能。満足度調査などのアンケート集計も、まとめてくれる。そうなるとデータサイエンティストは、もっと高度な分析に取り組める。
また、製品の設計資料などの過去の資産を、生成AIに聞いて簡単に呼び起こせれば、生産性や品質の向上をめざせる。
若手社員の育成にも使える。日立製作所では入社2年目まで指導員が付くのだが、指導員の属人的な力量に加えて生成AIによって日立全体の知見を共有できるようになると、人材育成も加速する。
若手社員は指導員や上司に直接質問できないことも多いが、生成AIに聞く若手社員が出てきているという。先輩に聞く前に、生成AIに相談してから先輩に質問するのだ。
もう1つの記事「軽い気持ちで使う、何度も試す デジタルネイティブ世代と生成AI」では、若手社員の活用事例を紹介している(8月28日)。つぎのような事例が挙げられている。
・メールや資料の構成を決めるのに使う。
・わからない単語が業務中に登場した際に利用する。検索エンジンも同じことができるが、ChatGPTなら、サイトを選ぶ手間や、サイトをくまなく読む手間が省略できる。
・文章の誤謬を確認する。
・ビジュアル(画像)の作成。言語からイメージの具現化が簡略化され、数日かかっていたキービジュアルの完成が数時間に短縮した。
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