シニア起業に異変「50代の起業相談」急増の理由 「50代起業」で成功する人がやっていること

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メンバーシップ型からジョブ型への移行、役職定年での年収の減額、さらに早期退職制度……50代のビジネスパーソンをとりまく環境は逆風だらけだ。

気持ち的にも体力的にも「まだまだできる」と思っていても、会社は子会社への転籍や再雇用などの道を用意しつつ「そろそろ後進に道を譲れ」と無言のメッセージを送ってくる。会社にしがみついても給料が下がるのであれば、「いっそ好きなこと、やりたいことで起業してみるか」と奮起したくなる心情は十分理解できる。

コロナ禍で起業しやすくなった側面も

コロナ禍も起業を後押しする要因となった。テレワークが普及して時間を確保しやすくなったことや、オンラインで相談が受けやすくなったことに加え、副業を推奨する企業も増え、副業制度の枠内で起業を検討する人が増えた。

女性の起業も増えており、「5年前は2割程度だったのが、現在では4割程度に増加していて、年齢が若いほど割合が高まる傾向にあります」と片桐氏。「50代の女性はキャリアも人脈も豊富で、起業でやりたいことも明確に持っている方が多いですね」。

1985年に男女雇用機会均等法が制定され、今年で58歳を迎える年代がその「第1世代」に当たる。女性活躍の道を切り開いてきたパイオニアでもある彼女たちが、次の活躍のステージとして起業に目を向けているようだ。

ただし、50代という年代は高校生や大学生、場合によっては中学生以下の子どもを抱え、家族のためにまだまだ稼がないといけない年代でもある。そのためか、「これまでの60代以上のシニア層と50代の現役世代では、起業へのスタンスもモチベーションも異なる」と片桐氏はその違いを指摘する。

「60代以上の方は年金収入がベースにあるのであまりガツガツしておらず、『経験を生かしてビジネスしたい』というスタンスの人が多い。それに対して、今の50代の方は『ビジネスしたい』より『稼ぎたい』が先にくる。定年後のキャリアプランを見据えて真剣に相談に来る方が多い印象です」

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