「新制度の恩恵? まったく受けていません!」都内外資系運輸会社勤務のAさん(35)は憤る。正社員で共働きのため、通勤可能な認可保育所を第7希望まで書いて入所申請をしたが、入所はかなわなかった。この春、やむなく第1子の息子(1歳2カ月)を無認可保育所に預け職場復帰。5月現在も待機中だ。
2015年4月1日から、「子ども・子育て支援新制度」がスタートした。国は、0~2歳の子どもを預かる小規模保育などを新たに導入して待機児童解消を掲げる。だが、認可に入れなかった保護者はAさんだけではない。都内各地では異議申し立ても勃発。新制度の恩恵にあずかれた人は、まだ一部のようだ。
「待機児童ゼロ」って、ホント?
成果が出た地域もある。この春、首都圏では千代田区や川崎市、千葉市、柏市などが待機児童ゼロとなった。こうした一部自治体の改善は多いに評価すべきだろう。だが、この「ゼロ」も必ずしも待機の実態を表す数字とはいえない。
厚生労働省の定義では、認可に入れず、自治体が助成する認可外施設を利用した場合(認証や認定、保育ママなど)は待機児童として数えない。
さらに今年1月の新たな通知では、認可を目指す施設や幼稚園の長時間預かり・一時預かりを利用した場合も除外、育休中も除外可能となってしまった。待機の細かな定義は自治体に委ねられるが、多くはこうした国基準をベースに待機数を集計している。
また、「保育所不足から求職をあきらめているママ」や、筆者のように「最初から認可はあきらめ申請もせず、認可外へ預けて働いている場合」など、全国85万人ともいわれる潜在待機児童数も含まれない。よって、「待機ゼロ」と聞いても、「実感なき待機児童策」と感じる保活ママも多いのではないだろうか。
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