特に都心の「保活」激戦区では、依然として状況は厳しいようだ。冒頭のAさんは、待機児童数が2年連続全国ワースト1の世田谷区在住。念のため認可の一次選考落選も想定し、産後4カ月ころから認可外を含め18件の施設を見学した。だが、いざ入所できないとわかると、怒りがこみあげる。
「制度を変えればいかにも『何かやった風』だけど、問題は未解決。現に私は1歳児を預けられず困っている。やむなく無認可に預けたが、毎月の保育料は9万円! 認可に入れた人と同様に税金を払うのは納得いかない」。
悲報!「0歳児はしばらく解消しません」
世田谷区の昨年の待機児童数は1109人。「育休延長中」や「自宅で求職中」も含むので数は膨らむ。とはいえ、保育園を考える親の会による「100都市保育力充実度チェック」の入園決定率(新規認可に入園した児童数÷新規で入園希望した児童数)でも、昨年は47.2%(14年度の全国平均は67.9%)。ワーストではないが激戦区であることは間違いない。
だが、世田谷区も努力はしている。今年4月1日には、私立の認可を10園、認証を2園オープン。総定員は1301人増の1万4755人となった。これだけ認可を増やした形で大幅な定員増を図ったのは初だという。
それでも、Aさんのような待機者が出てしまう。待機児童数発表は5月末だが、今年の認可保育園への新規申込数は6175人(前年比812人増)となり、一次選考ではそのうち3146人が入所できなかったという。
残念ながら、厳しさは続くようだ。来年は、認可20園と認証1園を開園し、2082人の定員増を計画。4年後には総定員2万人の確保を目標としている。だが、「1歳以上は来年にも足りる計算だが、0歳児は5年後も解消されない」と、世田谷区こども・若者部保育認定・調整課長の上村隆氏は話す。
どの自治体でも待機児童の多くは0~2歳だ。そのため、小規模保育などを増やせばよいのではと思いがちだが、実際はそう簡単ではない。実は、世田谷区では昨年の待機児童のうち約100人が3歳(一部4歳)だった。つまり、3歳以降に入所する連携先の園が確保できる状態ではなく、小規模保育も作れないという。連携先の園が確保できないまま小規模保育を増やす自治体も多いが、同区は、当面認可を増やす形で定員を拡大する方針だ。
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