──エリート銀行員がネットベンチャーに転職して会長へ上り詰め、横浜DeNAベイスターズのオーナーまで務めた。DeNAで過ごした15年間は波瀾万丈です。
別に僕自身はスペシャルでもないし、球団オーナーになりたかったわけでもない。もっと言うと役員になるつもりもなく、流されるまま。自分のやりたいこともあるけれど、DeNA全体のリソースを考えたとき、僕をどう使うのが会社にとっていいかを客観的に考えてきた。
仕事を咀嚼して自分なりの役割を果たしていくうちに、球団の案件にも出合えた。別に必然ではなく偶然が重なっただけだ。
球団買収で苦労したことは
──2011年の買収後、球団の赤字を大幅に縮小させた。
買収のとき、「3年で黒字、5年で優勝」と言ったにもかかわらずできなかった。途中で放り投げる形になるが、あくまでオーナーはDeNA会長の立場でやっていた。だから退職する時点で球団も辞める形になってしまった。
買収で苦労したのは情報収集。どういう形なら経営がうまくいくのか、過去のやり取りを見ると人間的な感情のもつれなどが見えていた。
ある人に、「球団が球場を持っていないとビジネスとして厳しい」と言われたこともある。確かに球団と球場の収益を足すと十数億円の赤字。だから球場側に「これじゃ経営が成り立たない。一方的に球団側の赤字と言われても困る」と持ちかけると、「僕らも収益を増やしたいが(元親会社の)TBS(ホールディングス)さんがすぐ出ていくとか言うしさ」と返された。だから「僕らは出ていかない。チームを強くするし、動員数を増やすという共通の目標で黒字にしよう」と切り出した。
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