DeNA創業者が語る、球団オーナーの役回り ベイスターズの南場智子オーナーを直撃

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南場智子オーナーが横浜DeNAベイスターズに寄せる思いとは?(撮影:尾形文繁)
プロ野球界発展の寄与、地域社会への貢献、そしてディー・エヌ・エー(DeNA)のブランド価値・知名度向上を狙って、横浜ベイスターズ(当時)をTBSから買収してから、3年余りが経過した。
今年1月の人事で新たに横浜DeNAベイスターズのオーナーに就任したのが、DeNA創業者で、現在は同社の取締役ファウンダーを務める南場智子氏だ。IT業界の経験を球団経営にどう生かしていくのか。南場氏に聞いた。

 

――昨年秋頃にオーナーに就任するうわさがあったが、即否定していた。なぜこのタイミングで交代したのか。

本社人事(春田真氏がDeNA会長を6月で退任)の関係です。本来は球団オーナーも6月に交代するため、こんなに前倒しで機関決定する必要はなかった。しかし、シーズンに入ってから野球以外のことで球団を騒がせたくないという春田(真・前オーナー)の意向から交代が決まった。

――球団買収は、春田前オーナーに強い思い入れがあって実現した。もともと南場さんは、どんな印象を持っていましたか。

当初ですか?私は本業以外で派手に力を入れるものを持つことに対し、「どうなの?」と言ったことがある。もちろん最初の反応ですよ。

球団買収を提案し南場氏を仰天させた春田真会長(46)。住友銀行を退職し、2000年に設立から1年も経たないDeNAに入社。11年の球団買収で横浜DeNAベイスターズのオーナーに就任。南場氏の右腕として会社を支えてきたが、15年6月で会長を退任する(撮影:風間仁一郎)

確か買収する1年前で、今もビジュアル的に覚えている。私の社長退任が控えていて、春田の部屋のミーティングテーブルに私と守安(功、現社長兼CEO)が座り、 向かいに春田が座って経営について話し合っていた。

それが終わりかけたところで、3人だけのミーティングなのに、春田が「あの、僕欲しいものがあります」って元気 良く手を挙げたんです。

「何?」と聞くと、「球団が欲しい」と言い出して、私と守安が驚いて「えーっ!」となって。

DeNAって、地味でストイックな経営をしてきた。本業集中型で余計なことは何もしない。今だに社長に黒塗りの車をつけないし、合理的じゃないことはしない。地味な社風の中でプロ野球球団?と戸惑っていたら、春田が「セ・リーグ空いています。セ・リーグ取りたい」と。私は「えっ?」と。

野球のことはすっかり忘れていた

その後、話が出なくなったので、余計な心配をしなくてよかったと思いました。でも、私が社長を退いた後、野球のことなんて忘れていたところに、春田と守安の2人が私の前に座って、「今年はうまくいきそうですよ」と言ってきた。

春田会長に籠絡された?守安功COO(当時)。1973年生まれ。日本オラクルを経て、99年11月にシステムエンジニアとしてDeNA入社。2009年に取締役COO(最高執行責任者)就任、11年6月に南場の後を受けて社長就任(撮影:梅谷秀司)

守安は春田にすっかり”籠絡”されていて。私がいくつか疑問を投げかけてみると、経営にもグループにもプラスだと2人とも強く思っているし、質問にきっちりと答える。この2人が言うならいいやと思いました。

その2、3日後に新聞に記事が出て追いかけられ、DeNAではだめとか言われて大騒ぎになって。私も交渉フロントに出されたが、私個人が思い入れを 持って不可能を可能にしたわけじゃない。社内や仲間を引き込み、社外でも交渉を中心に担ったのは春田です。彼がオーナーを退いた後も、いつでも永久にスタジアムで野球が観られるチケットがあったらプレゼントしたいくらい。

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