起業家はモテモテだけど、結婚には不向き? 「恋愛」と「起業」には深い関係がある可能性

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Dimitry Rtischev (ディミトリ・リティシェフ) 学習院大学経済学部経営学科教授。1966年ソ連生まれ、中学時代に米国に移住。米マサチューセッツ工科大学(MIT)電気工学・コンピュータサイエンス学部を卒業し、修士課程修了してベンチャーを設立。その後、シリコンバレー企業勤務を経て大学に戻りカリフォルニア大学バークレー校経済学博士課程修了。1999年にシリコンバレーにてベンチャー企業を立ち上げ、約5年間CEOを務めた。2004年に学習院大学に着任。個人ならびに企業の戦略的行動、ベンチャー企業論、制度経済学を中心に研究活動を行っている。
学習院大学経済学部のディミトリ・リティシェフ教授が、「私も起業できる? ベンチャーで働く?」という電子書籍をキンドルで出版した。日本人と米国人との対話を通じて、米シリコンバレーの起業の仕組みや、職業観、財産の築き方が明らかになっていくストーリーだ。教授は就活学生やその親世代にも読んでほしいと語る。本人に話を聞いた。

 

――経済小説のような内容ですが、なぜこの本を書いたのですか。

私は大学教員になる前にシリコンバレーで起業してベンチャーを経営していました。その経験と、研究でわかった日米の相違点をできるだけストレートに学生に伝えたかったです。

だから学者独白ではなく、現場の主人公を立ててディベートさせることにしました。私のゼミでは、ベンチャー論を中心にするため、ベンチャーや起業に関心のある学生が集まってきます。

ところが実際に就職活動の時期になると、ほとんどのゼミ生が大企業に就職したがる。髪を染めて今風の格好をしていた学生が、いつのまにか髪を黒く戻して、リクルートスーツを着ている。

大企業内定を必死にしている彼らのストレス解消のためにも書きました。彼らが愛用しているグーグルやフェースクックとかを作っているのは同年代のシリコンバレーの人です。その若者のやる気やキャリアの考え方を理解しておけば、ベンチャーという進路を視野に入れ、納得できる就職先を増やすことができます。

ベンチャーを立ち上げた経験が役立った

――そもそも先生の経歴は日本の大学教員としてユニークですね。

米国では特別な経歴ではないが、日本ではたしかにそうかもしれないですね。大学を卒業する前に、私は米国の大手企業とベンチャーに応募して数社から内定をもらいました。しかし私はクラスメートとベンチャーを始めた。そのベンチャーは1年ともたなかったけれど、その経験は、大企業勤務や大学院を経て、再びベンチャーを立ち上げたときにたいへん役に立ちました。 

当時も今も、自分がリスクを取ったとは考えていません。周りに同じような選択をする若者がたくさんいましたからね。若いときの創業経験は経済的な利益はありませんでしたが、後悔はしていません。ベンチャー経営に専念していた6年間は大企業に勤めていたら、もっと高い給料を得たかもしれないしストレスは少なかったかもしれない。しかし、もう一度、20代に戻れるとしても、私は再び起業をすると思いますね。自分の興味を生かして熱心に活動できたことは貴重な経験です。 

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