ワークマン、海外進出を果たす「広報巧者」の急所 巧みな広報戦略も「一本足打法」には懸念も

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そもそも今回の主役である新業態「Workman Colors」自体が、SNS重視で生まれたブランドなのだ。「Workman Colors1号店が銀座に出店!!」と題したプレスリリースでは、次の「赤裸々な」記載がある。

「インスタグラムをはじめSNS時代には強いビジュアルインパクトが必要なことがColors店の出店背景です。白Tシャツやデニムパンツなどのモノトーンのインスタ投稿では『いいね』が付きません」
(出所:ワークマン公式サイト)

一方、完全にマスコミ向けのイベントと言えば、ワークマン成長の立役者である土屋哲雄専務が出席する「成長ビジョンプレゼンテーション」くらいだろう。

広報で「SNS重視」を掲げる企業は珍しくない。だが、そのほとんどはマスコミ向けとSNS向けの施策を別個に展開し、担当者も別に置いている。ワークマンのように一元的に施策を実行している企業は、それほど多くはない。全社戦略のなかでSNS、マスコミ対策が一体となった広報戦略が練られ、部門間の縄張り争いに侵されることもなく、展開されていることがうかがえる。

巧みな点はまだまだある

・巧みな点その2:マスコミ選別を進めていること

ワークマンの広報戦略の巧みな点の2つ目は、マスコミ選別をかなり進めていることだ。SNSを最も重視したうえで、マスコミでは経済報道としては日経、消費者向けにはテレビに重点を置いている。逆に日経以外の新聞は「軽視」と言ってもいいほどだ。

以前の記事(トヨタ、佐藤新社長就任で「広報戦略」激変の訳)で私はトヨタの「テレビ重視、日経を含む新聞軽視」の広報スタンスを書いたが、テレビ重視という面ではトヨタに近い姿勢を感じる。

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