ワークマン、海外進出を果たす「広報巧者」の急所 巧みな広報戦略も「一本足打法」には懸念も

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ワークマンによるマスコミの選別を詳しく見ていきたい。

今回の発表会に合わせて記事にしたのは、全国紙では日経新聞のみだった。日経の記事のタイトルは「ワークマン海外進出 27年に台湾、沖縄にも24年に旗艦店」。この記事が掲載されたのは発表会当日の8月30日の朝刊だ。これらの内容は発表会で公表されたものなので、日経は発表会「前」に報じたことになる。

日経の記者は発表会の前に、どのように情報を得たのか。真相は当事者しか知る由もないが、記者経験者であれば、十中八九、ワークマン側による意図的なリークを疑うだろう。

仮にワークマン側によるリークだった場合、なぜ日経だけにリークしたのか。理由はシンプルで、日経との関係を重視しているからだろう。さらに言えば、日経に大きく報じてもらいたいからである。「他社が報じる前の情報」であれば、日経としても「独占情報」なので、通常より大きく報じる理由が生じる。

ちなみにワークマンの「日経先行」はこれだけではない。8月10日に女性用肌着に参入することを公式発表しているのだが、その前日には日経電子版で、発表当日の朝刊で報道している。これらの事実からワークマンが広報戦略として、新聞のなかで日経を脈々と重視していることが読み取れる。

一方、テレビはと言うと…

一方、テレビは日本テレビ「news every.」「DayDay.」「ズームイン!! サタデー」、TBS「THE TIME,」「ひるおび」、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」、フジテレビ「めざましテレビ」が取り上げている。

新聞とは対照的に、なぜ多くのテレビ番組が取り上げているのか。まずテレビは異業種である日経の先行を気にしないことがある。

加えて、ワークマンが発表会で多様な切り口を用意しているからだ。テレビと言っても、番組ごとに実際の視聴者層は異なる。新製品発表会は半期に一度のイベントなので、ワークマンとしても半年分の展開をすべて盛り込むことになる。「盛りだくさん」であるが故、どの番組もそれぞれの視聴者層に応じた切り口を見出すことができるのだ。

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