その背景には「少子化」があるのは間違いないが、2009年の小学生(6~11歳)人口は749万人、2022年は615万人だから17.9%の減少にすぎない。野球競技人口の方が倍以上の速いペースで減少していることになる。
野球が選択されなくなった原因の1つとして「保護者の負担の大きさ」を指摘する声が上がっている。
1つは経済負担の問題。近年、野球用具は高価なものになっている。少年野球の競技人口が激減しているうえに、かつては少年野球の数倍あったと推測される「野球遊び」のためにグラブやバットを買う子どもが、ほぼいなくなった。マーケットが縮小した分、用具の単価が上がっているのだ。
さらに、安全性を考えて、少年野球であっても野球用具の規格は厳格になった。かつてに比べて、つくりは頑丈になったが、その分コストも上がっている。
総務省の調査によれば2015年1月に平均で9954円だった軟式グローブは今年6月の最新統計では1万3529円と36%も値上がりしている。また子どもであってもお茶や水ではなく、スポーツドリンクやプロテインなどを摂取することも多くなっている。
親が「お茶当番」として駆り出される
2つ目は、親の「お世話」負担の問題だ。多くの少年野球チームは、原則「ボランティア」だ。監督など指導者は交通費などの経費以外のお金は受け取っていない。その代わりに親が監督や選手の「世話」をしている。
練習や試合がある日は、親が「お茶当番」として駆り出される。多くのチームでは監督の食事の世話もする。中には「監督の好み」の申し送りがされ「サンドイッチの切り方」や「おにぎりに入れる具」まで決まっていたりする。グラウンドの整備を親がすることも多い。
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