「子どもの野球離れ」保護者の重すぎる負担の深刻 全日本軟式野球連盟が運営の見直しを求める通知

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「一方で、子どもの野球に関わるのが大好きで、どんどん協力する親御さんもいる。熱心な親御さんに合わせたら、残りの人は付き合っていられなくなります。特に、土日の過ごし方ですね。親御さんの中には、土日が休みでも自分たちのレギュレーションで決まったことがやりたい、だから子どもの試合や練習には行けないんだという方もいる。

子どもの野球中心に回っているご家庭もいるけど、現実的には子どもの野球もいろいろある生活の1つだというご家庭の方が多いんです。だから通知にも書きましたが『親が協力して当たり前』という時代じゃないと。それをしっかり話し合ってほしいということです。

今では、ある家の親御さんは『すべてのことができます』、ある家は『これ以上はちょっと無理です』となるのが、当然の話だと。そういう中で、たくさん協力している家の子が試合にたくさん出るというのもよくないし、どちらかが不公平感を持ってしまうのがよくないですよ、ということです」

「それから、子どもをチームに入れる親御さんも、このチームのやり方はどうなのか、事前によく説明を聞いてくださいよ、と言っています。今言ったように、一度入ってしまえば、年度内にチームを代わるのは難しいですから。

最近は、ご家庭の負担を軽くする代わりに、月々何千円と言う運営費をとるチームも出ています。その代わりにチームのスタッフだけで全部やると。そういうチームは親御さんは一切ノータッチなので、関わりたい親御さんは寂しいかもしれません。またご家庭の負担も大きくなりますが、それも1つの選択肢かもしれません」

「改革に着手するのは難しい」

岡山県で少年野球チーム倉敷ジュニアリバティーズGM兼任監督を務めるとともに、山陽フロンティアリーグを主催する後藤尚毅氏は、今回の通知についてこう語る。

「時代の変化と個々の家庭のニーズの多様化に目を向けない限り少年スポーツとして野球を選択する家庭はどんどん減少していくと思います。しかし、既存チームの多くはこの通知の意図を汲んで改革に着手するのは難しいのではないでしょうか。

多くの学童チームは理念や運営方針に基づき選手が集っているわけではなく、〇〇小、〇〇学区の子どもたちが集まる地域のチームです。そして、毎年、高学年の保護者の方々が中心となって運営されている場合がほとんどなので、一貫した運営理念や方針などを構築し持続していくことは非常に困難な状況にあります。代が変われば方針が変わることなども当たり前です。

ですから、伝統あるチームで改革を進めたいと頑張る指導者が出てきても、来年には次の監督によって元通りの旧体制になったりもするので、新たなチャレンジはそもそも生まれにくい環境です」

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